モックアップ製作で使用される樹脂の電気特性とは?

2022/08/17
column

モックアップ製作において使用される樹脂の電気特性には、どのようなものがあるのでしょうか。樹脂は基本的に電気を通さないというイメージがありますが、今回は実際の帯電性や誘電性について紹介します。また、電気特性を考慮して樹脂を選ぶ際のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

樹脂は基本的に絶縁性を備えている

樹脂は基本的に絶縁性を備えている素材です。絶縁性とは、熱や電気を通しにくい性質のことであり、樹脂に分類される素材には多かれ少なかれ絶縁性があります。樹脂の中でも特に、以下の2つは絶縁性が高くなっています。

・フェノール樹脂
・エポキシガラス

その他、芳香族ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ABS樹脂、ユニレートといった、絶縁性の高い樹脂があります。
絶縁性の高い樹脂は、電化製品の絶縁体などに使用されることも多く、とても身近な素材です。また、電気や熱を通しにくいということは、成形後に変形しにくいということでもあります。この性質を活かし、樹脂はモックアップ製作の際に、接着剤やコーティング塗料として使われています。

樹脂の帯電性と誘電性について

樹脂は非常に絶縁性の高い素材ですが、他にどのような特性を持っているのでしょうか。実は、樹脂には、以下のような全く性質の異なる電気特性があります。

・帯電性
・誘電性

帯電性

帯電性は文字通り電気を貯める性質のことです。摩擦などによって静電気が発生した際、その電荷が減らずに樹脂に残るのです。静電気は、電子部品に悪影響を及ぼしたり、機器の破損や放電による爆発に繋がったりします。その為、高い精密性が求められるモックアップ製作では、きちんとした対策をとらなくてはいけません。帯電防止剤を使用するなど、適切な方法で危険を防いでください。

誘電性

電気を通さず、内部に蓄える性質のことを誘電性と言います。電気を全く通さない絶縁性と電気を通す導電性の中間にあたる性質です。MCナイロンや高分子ポリエチレンが誘電性のある樹脂に該当します。

樹脂の帯電防止グレード・導電性グレードの選定のポイント

帯電防止グレード・導電性グレードを選ぶ際、まず1つ目のポイントは、樹脂をどのような目的で使うかを明確にすること。帯電も導電も電気を通しますが、帯電は長く静電気が留まる性質であるのに対して、導電は電気が抜けていくスピードが速いです。
導電は電気を通すけれど帯電するのは防ぎたい部分に使い、帯電防止は静電気によるゴミやほこりなどの異物の付着を防止したい部分に使いましょう。
2つ目のポイントは、電気抵抗値を確認することです。それぞれの電気抵抗値の一般的な数値を以下にまとめました。

ただし、これは樹脂を取り扱っているメーカーによって基準が異なるため、思い込みで素材を選択するのはおすすめできません。導電性のものを選んだけれど、思いのほか電気を通してしまい予想外のトラブルに繋がってしまう恐れがあります。その為、樹脂を選ぶ際は電気抵抗値をしっかり確認してください。

今回のまとめ

樹脂には主に絶縁性、帯電性、誘電性という3つの電気特性が存在します。絶縁性の高い樹脂は変形に強く、接着剤などに使われるのが一般的です。帯電防止・導電性によって樹脂の使用用途が変わってくることから、選ぶ際は電気抵抗値を確認し適切な目的で使用しましょう。