多部品製品を必要とする自動車モックアップ製作向けデジタルモックアップ(DMU)とは 2022/08/10 column デジタルモックアップ(DMU)とは、コンピュータ内で設計内容を確認できる試作品を指します。多くの部品を必要とする自動車モックアップでは、実際に部品を作成する通常のモックアップとどのような違いがあるのでしょうか。自動車モックアップ製作向けのデジタルモックアップについて解説します。 【目次】 1.デジタルモックアップ(DMU)は動いた軌跡の形状確認が出来る 2.組立・分解・メンテナンス精度まで計測出来るデジタルモックアップ(DMU) 3.自動車モックアップ製作に取り入れたいDMU機能とシミュレーター 4.今回のまとめ デジタルモックアップ(DMU)は動いた軌跡の形状確認が出来る DMUは3D-CADで作成した設計図を基に作られます。 DMU キネマティクス・シミュレーター(KIN)というモジュールを使用すれば、コンピュータ内で実際に機構シミュレーションを行うことができ、部品や設計図の検証が可能となります。クリアランス確認・干渉チェックだけではなく、部品の動いた軌跡をソリッド形状として残すことも可能となっており、3次元空間と時間軸の中での問題も発見することができるようになっています。 実際に部品を作成するモックアップと比較して動作確認のみならず、使用していく中での変化まで確認できるので、コストや時間の大幅なカットを実現できました。 組立・分解・メンテナンス精度まで計測出来るデジタルモックアップ(DMU) 様々なことが可能となったDMUですが、実際に製品を作成することに至った場合の製品の組立性や保守メンテナンス性を検証するDMUフィッティング・シミュレーター(FIT)というモジュールがあります。組立・分解・メンテナンス精度まで計測でき、軌跡のボリューム作成、動的な干渉チェック、軌道シミュレーション、動画作成を行うことができます。組立や分解・メンテナンス精度などは製品の製作上、避けて通れない部分もシミュレーションしてブラッシュアップを行うことが可能です。 自動車モックアップ製作に取り入れたいDMU機能とシミュレーター 上記で説明したモジュール以外にも自動車のモックアップ製作に取り入れたいDMU機能とシミュレーターが存在します。 ヒューマン・ビルダー(HBR)は人体模型を作成・操作する製品で、男女等を指定しシミュレーションを行い、実際に人間を組み込むことで視認性のチェックができ、製品の実用性を図ることができるのです。 また、VR(仮想現実)技術の応用も始まっており、設計図を基にVR空間で組立手順を再現し、VR空間にてリアルスケールで実機同様の体験をすることができるようになっています。 今回のまとめ デジタルモックアップ(DMU)は、多くの部品を必要とする自動車モックアップ製作において、技術の進化により実際の部品を作成することなく、コンピュータ上で製品を作成、テスト、運用以降も計算し表示出来るようになりました。 DMUの導入により、実際の部品を作成することもない為、大幅なコストの削減が可能になります。また、動作確認のシミュレーションもできる為、時間の短縮が可能となり、品質の向上も見込まれます。 DMUはコンピュータが発展した現在ではなくてはならない存在と言えるでしょう。