開発者が知っておきたい試作品製作の真空注型で使われるさまざまな材料

2022/08/01
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試作品製作を行う上で、真空注型で試作したい人もいるのではないでしょうか。真空注型での試作は汎用性が高いので、開発者であれば理解しておくべき試作方法だと言えるでしょう。真空注型で試作品製作を行う際には、使用する材料について認識しておかなければなりません。ここでは、試作品製作の真空注型で使われる材料と対応可能な材料について解説します。

試作品製作で多く使われる真空注型の材料は熱硬化性樹脂に限られる

試作品製作で活用されている真空注型は、真空状態で型に液状の樹脂を流して固める製法です。材料は熱硬化性樹脂に限られており、コスト削減や納期短縮が可能という特徴があります。
3Dデータで複製元のマスターモデルを製作し、周りに樹脂を流し込み、硬化後に割ってマスターモデルを取り出すことで真空注型の完成。金型よりも耐久面で脆弱ですが、小ロットの試作品製作に最適な製法です。指紋を転写可能なほど転写性が高く、細部の再現性に優れています。
真空注型は試作品用途での利用が多く、小ロットでの最終製品に利用されることもあります。何度も試作を繰り返さなければならない場合、金型で試作し直すよりも樹脂で試作した方がコストを抑えられるでしょう。

真空注型に対応できる主な材料

ここでは、真空注型に対応できる3つの主な材料について解説します。
・ウレタン系樹脂
・エポキシ系樹脂
・シリコン系樹脂

ウレタン系樹脂

ABSやPP相当の硬度があり、使用する樹脂によって幅広い硬度に設定可能です。通常の耐熱温度は80~90℃ですが、樹脂の種類によって110~120℃にもなります。透明性が高いカラーであり、色付けや着色も可能です。

エポキシ系樹脂

ABS相当の硬度で、70~80℃の耐熱温度となります。カラーはベージュや黒色であり、色付けや着色も可能です。

シリコン系樹脂

シリコンゴムと同程度の硬度であり、200℃にも耐えられるのが特徴です。他の樹脂と同様に色付けや着色も可能ですが、カラーは乳白色に限られます。

精密真空注型(熱硬化性樹脂)での汎用工法

精密真空注型における汎用工法はマスターモデルを製作するところから始まります。周りに熱硬化性樹脂を流し込んで固めて、そのまま覆い、固まった樹脂を分割してモデルを取り出すことで、汎用する型の完成です。
そして、分割した型を密着させて、空間に注型材料を流し込み硬化させます。流し込んだ材料の硬化を確認したら、成型品を取り出します。流し込む中型材料を変えることによって、目的に合わせた試作品製作が可能です。
この汎用工法を繰り返すことで、マスターモデルの形状の試作品が連続的に試作できます。

今回のまとめ

試作品製作の真空注型で使われる材料は熱硬化性樹脂に限られており、細部の再現性に優れています。真空注型はコスト削減や納期短縮に優位性を示すことができ、小ロットでの最終製品に利用されることもあります。
真空注型に対応可能な材料は「ウレタン系」「エポキシ系」「シリコン系」の3種類です。試作品の目的に合わせて注型材料を選びましょう。真空注型での汎用工法はマスターモデルの周りに樹脂を流し込み、硬化後にマスターモデルを取り出す必要があります。マスターモデルの空間に注型材料を流し込み硬化させることによって成型品が完成します。