試作品製作の切削加工のメリットとデメリットにはどのようなものがあるか

2022/07/05
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試作品製作で切削加工を検討する人の中には、メリット・デメリットを知りたい人もいるのではないでしょうか。切削加工のメリット・デメリットを把握しておくことで、試作品製作に導入するかどうかの判断材料にもなるでしょう。ここでは、切削加工のメリット・デメリットについて解説します。

切削加工の最大のメリットはどのような材料でも試作品製作できること

切削加工の最大のメリットは金属や樹脂材料など、使用する材料に制限なく試作可能な点です。切削加工であれば任意のサイズで加工が可能であり、高品質な製品を試作できます。切削加工に用いる工具にはさまざまな材質があり、どんな材料であっても試作が可能です。
切削加工はパソコン上での設計が容易であり、コンピューター制御によって緻密なデザイン加工もしやすいのが特徴です。切削加工は板金加工やプレス加工と違い、材料の厚みによる影響をほとんど受けることなく試作できるので、試作における優位性が高いと言えるでしょう。
試作品製作における切削加工は試用する材料が限定されることがなく、どんな材料でも幅広く試作可能です。

調整期投資や製作個数の制限が少ない点もメリットの一つ

切削加工は金型不要であり、製作個数が1つでもコストがほとんど変わらないのもメリットです。鋳造や鍛造加工では金型が必須であり、金型製作だけで時間やコストを割かなければなりません。切削加工は職人が材料を切削して試作するので、金型製作の必要がないのです。
試作品が1点ものや部品製作のみである場合、切削加工は納期が短くても対応可能なケースがほとんどです。金型製作の必要が無い切削加工は、最も経済的な除去加工だと言えるでしょう。
除去加工において、切削加工以外の方法は工作物を加熱し、加工時の設備にコストがかかることがほとんどです。切削加工はこれらの投資の必要が無く、経済的かつ精度にバランスの取れた加工法だと言えます。

切りくずのため歩留まりが悪いというデメリットがある

切削加工は素材を削ることで加工するので、切りくずが発生し歩留まりが悪いというデメリットがあります。切りくずは元の工作物よりも嵩が大きくなってしまうこともあり、処理に手間が掛かることがほとんどです。発生した切りくずが多くなることで、その分無駄になってしまいコストが割高になることもあります。
工作物によっては粘りが強いこともあり、切削中に発生した切りくずが工具に張り付いてしまい、加工を中断する必要が出てきます。
歩留まりを向上させるためには、鋳物や鍛造加工である程度の形を作っておき切削することで、発生する切りくずを少なくすることが可能です。試作品製作で切削加工を行なうには、発生した切りくずの処理を考慮しておくことが重要だと言えるでしょう。

今回のまとめ

切削加工のメリットは工作物の材料に関係なく、どんなものでも試作可能な点です。使用する材料に制限がないので、樹脂類でも金属と同様にコンピューター制御で緻密なデザイン加工もできます。切削加工は金型不要なので、製作個数が1つでもコストを抑えられるのもメリットです。鋳物や鍛造加工は金型が必要であり、金型製作に時間やコストを割かなければなりません。切削加工は金型製作に充てる時間やコストを考慮する必要がなく、最も経済的に製作できる加工法です。
ただし、切削加工は切りくずが発生し、歩留まりによって割高になる可能性も認識しておかなければなりません。工作物によっては粘りが強いものもあり、切りくずが工具に張り付いてしまい加工を中断しなければならないこともあります。試作品製作で切削加工を行なうのであれば、発生した切りくずの処理法を検討しておくことが重要です。