マーケティングは商品開発におけるニーズとシーズの違いとそれぞれのメリット 2022/05/31 column 開発者の方にとって、「ニーズ」と「シーズ」という2つの用語を耳にする機会は少なくありません。どちらも商品開発の成功に欠かせない重要な考え方ですが、この2つの用語の違いを十分理解できていない方も多いのではないでしょうか。本記事では、ニーズとシーズの違いやメリットをご紹介します。 【目次】 1. 商品開発のニーズとシーズの違いは顧客目線か企業目線か 2. ニーズのメリットは確実に売れる商品を作れること 3. シーズのメリットは大ヒットを生み出せること 4.今回のまとめ 商品開発のニーズとシーズの違いは顧客目線か企業目線か ニーズとシーズの違いは、簡単に言えば商品やサービスを見る目線の違いです。ニーズは消費者の視点から、シーズは企業としての視点から捉えることを指しています。 ニーズとは ニーズは「需要」という言葉で表されることもありますが、マーケティング用語では「消費者の潜在的な欲求」を意味する言葉です。 具体的に言えば、消費者が「日々の疲れを取りたい」「平日は夕飯づくりが面倒くさい」「短時間で楽しめる娯楽が欲しい」と日々何気なく考えている欲求がすべてニーズと言えるでしょう。 より明確に、「疲れを取りたいからマッサージ機が欲しい」というような「○○が欲しい」という欲求はニーズではなくウォンツです。 シーズとは シーズは、「種」を意味する英語です。文字通り種を蒔くようなイメージで、企業独自の技術やアイデア、価値を新たに市場へ提供しようとする姿勢を指します。 具体的には、消費者が「こういう物が欲しかった!」とハッとするような商品・サービスを0から作り出し、販売するのがシーズです。 しかし、よく考えてみれば、消費者が「欲しかった」と思うのは無意識的な欲求があるからです。つまり、シーズを重視した商品開発を成功させるためには、前提となる無意識的な欲求を理解しなければなりません。 ニーズのメリットは確実に売れる商品を作れること ニーズを重視した商品・サービスは、消費者の需要の延長線にあります。そのため、せっかく作ったのに全く売れなかった、という事態は滅多に発生しません。ほぼ確実に売れる商品を開発することができ、安定した利益を見込むことができます。 その分、需要の高いものは複数の企業が類似商品を展開しているため、後から参入するほど高性能・低価格な商品を要求されます。他との差別化を図らないと、売り出しが厳しくなるでしょう。 シーズのメリットは大ヒットを生み出せること シーズを重視した商品・サービスは、社会や消費者の需要に囚われないものになります。そのため、自由な発想で自社オリジナルの商品開発が可能です。確実に売れるという保証はありませんが、他社と競合しないため、ヒットすれば第一人者として市場を独占することができます。 価格競争の影響を受けず、自社で価格を設定できる点も大きなメリットです。 今回のまとめ 今回は、ニーズとシーズの違いやそれぞれのメリットについてご紹介しました。ニーズは消費者の視点から、シーズは企業の視点から捉えた欲求です。しかし、どちらも前提となっているのは消費者の欲求であり、商品・サービスのターゲット層が求めているものを調査するのがマーケティングの基本になります。 また、商品開発を成功させるにはどちらか一方に偏った展開ではなく、ニーズに合った商品で堅実な売上を出しつつ、自社独自の商品を開発していく両立型が理想的だと言えるでしょう。