モックアップ製作で知っておきたい「意匠データ」とは? 2022/05/13 column 製品開発の現場では意匠や意匠データといった言葉をよく耳にします。モックアップ製作ではこの意匠データが欠かせませんが、意匠データとは一体どのようなものなのか不明確だったりデザインと混同していたりする方もいるのではないでしょうか。 ここでは意匠データの意味をおさらいしながら、モックアップ製作における意匠データの保護の重要性や意匠データ登録の注意点等について解説します。 【目次】 1. 意匠データはデザインとは異なる 2. モックアップ製作では意匠データの保護が重要 3. 意匠データ登録はスピードも大事 4. 今回のまとめ 意匠データはデザインとは異なる 意匠データとは厳密に一体何を指すのでしょうか。デザインと同じだろうと考えているならそれは少し違います。デザインはお客様など相手の問題解決のための設計のことで、ファッションや商品開発、建築業界などあらゆる分野に該当します。またキャラクターデザインやパッケージのデザインなど著作権で守られるものもあります。 それに対して、意匠は意匠法にて『物品の形状や模様もしくは色彩又はこれらの結合』と定義されており、量産を目的とした工業商品のデザインのことを指します。例えば車や家電のデザインは意匠で、それを図面などで表したものが意匠データです。 工業商品の開発で全く新しいデザインを採用した場合、後発商品の模倣を防ぐために意匠データを登録することが可能です。これは著作権などの知的財産権の一つである意匠権で、登録されている意匠を無断で使用すると損害賠償や差し止め請求の対象となります。 モックアップ製作では意匠データの保護が重要 近年メーカーで開発された商品の類似品が多く出回るようになってきました。そのため、商品デザインやモックアップ製作の段階から意匠データの保護について考えることが大切です。 モックアップ製作段階から先行意匠を調査し、その商品の価値を決めるようなデザインや独創性のあるデザインは保護のために意匠データ登録の準備をしましょう。全体のデザインを意匠登録してもいいですし、商品の一部分であっても可能です。また試作品をいくつも用意する場合は似たデザインを関連意匠として登録することで、さらに類似品に対応しやすくなります。 意匠データ登録はスピードも大事 ポスターやパッケージ画像などのデザインの著作権は、完成した時点で発生します。しかし意匠登録という言葉の通り、意匠権が発生するのは特許庁に意匠データを申請し許可が下りた時点です。この点は特許申請に似ているので気を付けてください。 もし意匠データの申請をして許可が下りていない状態で類似品が出回った場合は、意匠権を行使して差し止めなどの対応が取れません。それどころか他社に先に意匠登録されてしまえば、いくら先行商品だと主張しても後の祭りです。 このように意匠データ登録はどれだけ早く動けるかスピードが重要になってくるため、新しい商品デザインを生み出した時にはすぐに申請に動けるような体制を整えておくと良いでしょう。近年では車のライトやリモコンのボタンなど、商品の一部でも積極的に意匠データを登録する流れになっています。 今回のまとめ 今回の記事では意匠データとは一体何か、デザインとの違いにポイントを当てて解説しながら、モックアップ製作でのデータの取り扱いや登録について気をつけたい点などをご紹介しました。 開発した商品の独自性を守るためには意匠データの登録がとても重要ですが、先に登録した方が意匠権を持つことになるので素早い対応が必要です。必要であればモックアップ製作の段階から意匠データの保護を考えるのが望ましいでしょう。