アクリルやABSなどの樹脂素材の試作品製作と商品化する方法に関する知識 2022/05/06 column アクリルやABSなどの樹脂素材で試作品を製作、そして商品化するにはどのような手順が必要なのでしょうか。手順を誤ってしまうと、納期が遅くなってしまったり、余計なコストがかかってしまいかねません。 この記事では、試作品製作会社に依頼するにあたり、より効率的な商品化を叶えるためのポイントを解説しますので、ぜひご参考にしてください。 【目次】 1. 成形したい物の図面は事前に作成しておくとスムーズになる 2. アクリルかABSなど素材の使用は試作品製作前に決めておく 3. 樹脂素材や試作品製作するものによって成形法を決定する 4.今回のまとめ 成形したい物の図面は事前に作成しておくとスムーズになる 成形したい物が既に明確になっている場合、試作品を依頼する段階で図面を作成しておくとその後のやりとりがスムーズです。具体的には、以下の3つのメリットが考えられます。 打ち合わせにかかる時間が短縮できる アイデア段階のモノを形にしていく、という作業も試作品メーカーは得意としていますが、打ち合わせに2週間程度かかる場合があります。事前に図面ができていると、その分打ち合わせにかける時間を短縮でき、結果としてスムーズな試作品作りに繋がるでしょう。 イメージが伝わりやすい お客様のアイデアを細かくヒアリングして形作る作業は、人と人とのコミュニケーションです。時にはメール等でのやり取りとなり、思わぬところでコミュニケーションエラーが起きることがあります。事前に図面ができていれば、共通認識を持って打ち合わせすることが可能です。 更には図面があることによって、より細部にまでこだわった提案が試作品メーカー側からできる可能性があります。 納期や見積りが明確になりやすい 納期や見積りは、使用する素材や成形法によって大きく異なります。図面があることによって、おおよその素材や成形法の見通しがつき、納期や見積りをより具体的に提示することが可能です。 アクリルかABSなど素材の使用は試作品製作前に決めておく 試作品の製作前に、どのような素材を使用するか決めておくことが必要です。樹脂素材と一口に言っても、様々な種類・特徴があります。予算、試作品や商品に求める機能によって、使用する素材を選択しなければなりません。 そして、素材によって適した成形法がありますので、予め素材を決めることでそれ以降の工程の見通しが立てやすくなるでしょう。結果として時間や不要なコストをカットすることができます。樹脂素材は、大きく分けて以下の2種類です。 熱可塑性樹脂 可逆的(熱を加えると柔らかくなり、冷ますと固まる)な性質のある樹脂素材です。アクリルやABSは熱可塑性樹脂の中でもさらに耐熱温度により汎用プラスチックに分類されます。特徴や耐熱温度により様々な用途に使用されます。 熱硬化性樹脂 不可逆的(熱を加えると硬化して戻らない)な性質のある樹脂素材です。耐熱性や腐食されにくい特性を活かし、電気機器周辺、接着剤などとして幅広く使用されています。 樹脂素材や製作するものによって成形法を決定する 図面や樹脂素材が決定すれば、成型法はある程度絞られます。成形法には以下のようなものがあります。 ・素材を選ばない成形法 射出成形・押出成形 ・主に熱可塑性樹脂に使用する成形法 ブロー成形・6ナイロン注型 ・主に熱硬化性樹脂に使用する成形法 トランスファー成形・直圧成形・真空注型、積層成形 対応可能な成形法は、製作メーカーによって異なります。図面や使用したい素材を提示することで、最適な成形法を提案することが可能です。 今回のまとめ 以上で解説したように、まず事前に図面を用意することが大切です。もちろん、「こういった商品を作りたいけど、どうしたらいいか分からない」というお客様もいらっしゃるかもしれませんが、図面の作成が可能なお客様は予め用意していただくことで、効率的な打ち合わせができます。 そして、図面と並行して、使用する素材を選択し、具体的な成形法を決定しますが、手順が逆になると、メーカーによって図面や素材に適した成形ができないといったトラブルが起きます。こういったトラブルは、また1からメーカーを選び直すという事態を引き起こしかねません。 ご紹介したような注意点を踏まえることで、効率的でスムーズな依頼・発注ができますので、ぜひご参考にしてください。