医療業界でモックアップは臓器モデルに活用されています

2022/04/18
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実物大の模型として建築現場を中心に利用されているモックアップですが、医療業界では臓器モデルに活用されています。では、臓器モデルのモックアップは、医療現場でどのような役割を果たしているのでしょうか。今回は、医療業界のモックアップ製作について詳しく解説します。

臓器モデルの製作で活躍している医療業界でのモックアップ製作

医療業界において、モックアップ製作は様々な役割を果たしています。臓器モデルをメインに、医療機器のモデルが製作されるケースも少なくありません。
製作される臓器モデルは、心臓や肝臓といった単体のみならず、心臓・肺・肋骨・筋肉・皮膚を組み合わせた胸腔モデルも存在します。また、大動脈解離など病態が進んだモデルも製作されているのです。病変部位を再現し不要な部分は削除するなど、柔軟に臓器モデルのモックアップが製作されています。
医療現場で撮影した画像を基に製作するのはもちろん、医学書や手描きのイラストからも臓器モデルの作成が可能です。

モックアップ製作で製作された臓器モデルはどのように活用されるか

臓器モデルのモックアップの用途は多種多様です。実際の医療現場で難易度の高い手術や、新しい医療機器を用いた治療・施術のトレーニングに活用されています。患者の安全を第一に考え、臓器モデルで経験を積むのです。
医療現場では、経験の少ない手術をすることがあります。特に、症例数の少ない疾患の場合、経験はあっても手術の手技に慣れていないことも少なくありません。患者だけでなく医師の不安を取り除くために、モックアップによって希少な疾患の臓器や周辺組織を忠実に再現し、シミュレーションすることが可能です。
そして、疾患を説明する際に臓器モデルを用いて、どの部分が悪化していてどのように治療していくかを患者に示すことも重要です。口頭や画像だけでは伝わりづらい部分もスムーズに説明できます。
さらに、教科書のイラストだけでは分からない部分まで確認することが可能です。臓器の立体的なイメージが掴みやすくなることで、臓器の構造に対する理解が深まります。そのため、臓器モデルは医療のみならず教育の現場でも活躍しているのです。

医療業界の臓器モデル製作で使用されている素材の種類と特徴

ここでは、臓器モデル製作に使用されている素材についてご紹介します。
1つ目は軟質精密ウェットモデルです。親水性が高く、臓器の質感や内部の複雑な構造も再現できます。3Dプリンタを用いて製作するため、製作期間を従来の半分ほどに押さえることに成功しました。短期間でクオリティの高い臓器モデルが完成します。
2つ目はウィザードゲルです。こちらは特殊な分子の構造によって、自己修復機能を持った軟質素材です。切断面を接触させるだけで切断と修復を繰り返し行えることから、臓器モデルを活用したトレーニングに何度も取り組めます。高靭性・高伸縮性・耐乾燥性を持ち、様々な形に成型することが可能です。

今回のまとめ

臓器モデルのモックアップは、医療現場で幅広く活用されています。施術や治療のトレーニング、患者への疾患解説、臓器の構造の理解を深めるなど、実際の臓器を用いて行うのが困難な手技も実現することが可能です。技術の発達により、さらにリアルな臓器モデルが製作され、今後も医療業界の発展に大いに役立っていくと予測されています。