自動車試作を行う上で知っておきたいブルーノ・サッコが手がけたカーデザイン 2022/03/18 column 自動車試作ではコンセプトをどこまでデザインに反映できるかも大切なポイントです。カーデザイン1つで印象が大きく変わり、ターゲットに与えるイメージに影響も出てきます。そこで今回は、自動車試作を行う上で知っておきたいブルーノ・サッコが手がけたカーデザインについて紹介していきます。 【目次】 1.ブルーノ・サッコとは 2.ブルーノ・サッコが手がけたカーデザイン 3.ブルーノ・サッコの直線美と存在感のあるデザイン 4.今回のまとめ ブルーノ・サッコとは ブルーノ・サッコは、1933年生まれのイタリアのカーデザイナーです。1974年にフリードリヒ・ガイガーの後任でメルセデスベンツのスタイリングデザイン部門のチーフエンジニアに選出されて以降、1980年代から1990年代のメルセデスベンツを支えた人物として讃えられています。 1995年に導入された楕円形のツインヘッドライトをはじめとして、彼が手がけたカーデザインは現在のメルセデスベンツの基本形になっています。 ブルーノ・サッコが手がけたカーデザイン ブルーノ・サッコが手がけたカーデザインの中でも1979年登場の「W126型Sクラス」と1982年登場の「W201型190クラス」は彼の代表的なデザインであり、後にメルセデスベンツの代名詞ともなった作品です。W126型Sクラスは排ガス規制を受けて開発された最新モデルであり、空力効果を狙ったすらっと長い車体が特徴となっています。 さらに現代では常識のエアバッグやアンチロック・ブレーキ・システムが搭載されています。W201型190クラスはベンツでは初めてのコンパクトモデルで、Sクラスを小型化したような見た目です。W201型190が登場する以前のベンツは大型・高級・セレブ向けといった印象が強いメーカーだったため、小型車市場の参戦自体が驚くべきことでした。 しかし、コンパクトカーになっても質感や操作性などが変わらず、高級車のブランドイメージを損なわない特徴的な自動車の姿から一層強い印象を人々に与えたのです。 ブルーノ・サッコの直線美と存在感のあるデザイン ブルーノ・サッコのカーデザインは直線美が生かされたものが多く、シンプルながらも存在感があるスタイリッシュな見た目が特徴です。そのため、走る姿も停まっている姿もどこか気品が感じられ、セレブからも愛されたのでしょう。特にサッコ・プレートというデザイン手法には、彼のデザイン性が顕著に表れています。サッコ・プレートは自動車ボディの側面下半分につけられたプロテクトモールのことを指し、メルセデスベンツ190Eに1989年から導入されました。重心を落とす役目も果たしながらデザイン的特徴も表現できるのは彼の天才的手腕によるものです。 そんな彼のデザイン哲学の基本には、“伝統を犠牲にすることは問題外で、その代わりにメルセデスのデザインと時代との一体化が図られました。私たちのねらいは常に、デザインを技術的な制約や時代の流れにうまく融合することなのです”と語るように、革新と伝統や時代の融合があります。 今回のまとめ 今回は自動車試作を行う上で知っておきたいブルーノ・サッコが手がけたカーデザインについて紹介してきました。メルセデスベンツの一時代を築き上げ、新たな伝統を創り出していった彼のデザインはスタイリッシュで魅力的なものばかりです。実用性とデザイン性の融合や伝統と革新の融合など、彼のデザインから学べる部分はたくさんあります。ぜひ自動車試作を検討している人はぜひ参考にしてみてください。