自動車の新型開発で耳にする「プロトタイプ」とは 2022/03/09 column プロトタイプは自動車を開発する過程で必要になります。人気があるメーカーの新型車が販売される前に、プロトタイプの存在が話題になることは少なくありません。なんとなく意味は分かっても、詳しいことまでは分からない人もいるでしょう。プロトタイプの詳しい意味や、必要とされる理由などを紹介します。 【目次】 1.自動車開発におけるプロトタイプの意味 2.プロトタイプが必要な理由 3.独特な模様でカモフラージュされるのはなぜ? 4.今回のまとめ 自動車開発におけるプロトタイプの意味 プロトタイプは英語で「prototype」と表記し、「原型」という意味を持つ言葉です。自動車業界では製品の開発段階で製造する車を指し、発売前の「初期モデル」や「実験用モデル」としての役割を持っています。展示目的ではなく、量産を前提として製造されたものを指すケースが大半です。 量産する前のテスト段階で使用し、実際に走行して設計上の問題点などを洗い出し、さまざまな検証をしながら完成品に近づける作業をするのです。未完成品であるため通常は一般人の目にさらされることはなく、テストコースを利用して走行します。自動車の分野だけで使用される言葉ではなく、ITや製造業などのさまざまな業種でプロトタイプの製作が行われ、開発に生かされています。 プロトタイプが必要な理由 自動車の新型開発をするにあたって、プロトタイプを作らないという選択肢はありません。プロトタイプを製造する理由は、新型車のコンセプトを目に見える形にすることです。どんなに優れた新型車のアイデアがあったとしても図面や口頭だけでは、その魅力を周囲に伝えきれません。実際にプロトタイプを製造し、走りを含めた機能を見なければユーザーに受け入れられるかどうか、最終的な判断はできないでしょう。プロトタイプがあるからこそ、検証と改善を繰り返してより優れた製品を作れるのです。 また、プロトタイプを作ることで早期に製造工程の問題点ができるところも見逃せません。大量生産した後で、製造上の問題が見つかると多くの製品が無駄になってしまいます。企業の損失を防ぐためにも、プロトタイプが必要なのです。 独特な模様でカモフラージュされるのはなぜ? 販売直前のプロトタイプがメディアを通じて公開されるときは、情報の流出を防ぐために車体を全体的にカモフラージュされています。新型車の存在をアピールしつつも、詳しい情報を競合他社に知られないようにするために、特殊なカモフラージュをしているのです。全貌を明らかにしないことで、いざ発売となったときユーザーに新鮮な驚きを与える効果もあります。車好きな人の中には、実際に販売される前の新型車が奇妙な模様で覆われているのを目にしたことがある人は多いでしょう。形状や窓の位置などを悟らせないために、全体的にうずまき模様や唐草模様などのカモフラージュが施されています。 新型車がテストコースで走行している様子を実際に目にしたとしても、長時間、注視できず全体像が分からないようにしているのです。車体の一部に特殊なパネルを取り付けて、実際のボディラインを隠しているタイプなどもあります。 今回のまとめ 自動車のプロトタイプは、開発段階で製造される初期モデルを指します。新型車のコンセプトや機能を可視化し、その製品の魅力を周囲に伝えられることが、プロトタイプを製造するメリットです。「製造工程に問題がないか」「機能面や安全面に問題がないか」などを確認することもできるので、企業に与える損失を未然に防ぎます。もし、プロトタイプを製造しなければ検証や改良ができず、量産した後で多くの問題が見つかり製造中止となってしまう可能性が高まるでしょう。