企業の商品開発における開発費・売価・量産数の考え方

2022/03/04
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これから新しい商品を開発し販売する予定があるなら、開発費・売価・量産数に対する一般的な考え方を押さえておきましょう。販売計画を立てずに適当に費用を決めてしまうと、「思ったよりも利益が出ない」という状態に陥ります。一歩間違えば、開発にかかった費用を回収できないかもしれません。これから商品開発に着手する人が押さえておくべき、基本的な情報をチェックしましょう。

【目次】
1.商品開発における開発費の種類
2.売価の設定方法
3.量産数の決め方
4.今回のまとめ

商品開発における開発費の種類

商品開発をする際に必要な開発費は、初期投資とランニングコストに分けて考えられます。初期投資は商品の試作や初期製造にかかる、設計費・金型製造費・デザイン費などの費用のことです。ランニングコストは、商品を一つ作るにあたって必要になる、材料費・加工費・光熱費などがあてはまります。
また、販促や宣伝費なども開発費に含まれ、商品を開発するにあたって必要な市場調査やアンケート調査費用なども発生することを押さえておきましょう。一般的な企業の商品開発費は50〜150万円程度とされますが、どんな商品を開発するかによっても違うので、一概にいくら必要とは言い切れない部分が大きいです。完全にオリジナルな商品を開発するとなると、多くの費用がかかることが珍しくありません。試作費や人件費などを多めに見積もっておきましょう。

売価の設定方法

商品の売価を決めるときの基本的な考え方として、多くの開発費をかけて製造した商品の売値は高く設定することになります。利益は「売価-原価」で計算できます。例えば、高価な材料を使うとそれだけ原価が高くなり、高い売価を設定しなければ利益が出ないことになってしまうのです。
原価は商品を作るためにかかった費用のことで、材料費だけでなく加工費・人件費・配送費・梱包材・家賃・光熱費なども含めて考えなければなりません。原価よりも低い売価を設定してしまえば、当然利益は出ないことになります。
業界によっても異なりますが、一般的に販売されている商品の原価率は3〜4割です。原価1000円の商品を原価率4割で販売すると仮定する場合、「1000円÷4割(0.4)=売価2500円」と計算します。
どれくらい利益を出したいかによって逆算する方法や、原価に利益を上乗せして決める方法などもあります。競合企業が設定している価格と照らし合わせながら低い売価を設定したり、差別化するためにあえて高く設定したりするケースも少なくありません。

量産数の決め方

売価を正しく設定しても、量産数によっては損失が生じる場合もあります。量産数は、物を大量生産したときの数のことです。試作品や特注品などは少量生産されたものということになります。市販されているものの多くは、量産に適した技術や工法を使用して製造されています。
生産数が多いほど、1個あたりの製造費用を安く抑えられることがポイントです。例えば、初期費用に100万円をかけて1個あたりの材料費が50円のものを売る場合、1万個を作ったときの費用は、初期費用:100万円+材料費:50万円で、合計150万円となります。1個あたりの価格は150円です。もし、競合企業や消費者の需要などの観点から、1個あたり100円以下で売る必要があるなら、5万個以上量産しなければ利益が出ない計算になります。
余程売れる見込みがある商品でなければ、5万個以上を売り上げることは困難です。大量の在庫を抱えることが心配な場合、付加価値が高いものを少量生産することも視野に入れるとよいでしょう。

今回のまとめ

開発費には、さまざまな費用が含まれています。売価を正しく設定するには、原価がどれだけかかっているのかを正確に把握しなければなりません。売価はどれくらい利益を出したいかによって設定額が変わってきます。業界によって設定方法が異なるものの、原価率を3〜4割にすることが多く、競合企業が設定している価格も参考にしながら決めることが一般的です。また、生産数が多いほど製造費用を抑えられますが、大量生産する場合はそれだけ売れるものを作らなければならないということを押さえておきましょう。付加価値が高いものを少量生産して、利益を出す方法もあります。