商品開発時の特許調査をアウトソーシングするメリット・デメリット 2022/03/01 column 特許調査とは、自社で開発した商品の特許出願を検討する段階で、事前に行う調査を指します。似た商品で、既に特許権が認められているものがないかを調べ、安心して特許出願を行うのが目的です。この特許調査を、アウトソーシング(外部委託)しようと考える場合、メリットとデメリットを考慮しながら検討することが必要です。特許調査ならではのメリットとデメリットは何かあるのでしょうか。今回の記事で検証してみましょう。 【目次】 1.特許調査とは何を調べるのか? 2.特許調査をアウトソーシングするメリットとは? 3.特許調査をアウトソーシングするデメリットとは? 4.今回のまとめ 特許調査とは何を調べるのか? 特許調査には4つのパターンがあり、調査目的や対象によって分けられます。それぞれについて簡単に紹介します。 出願前調査(先行技術調査) 自分たちが出願しようとしている商品が、 すでに特許として出願されていないかどうかを確認する調査です。 侵害予防調査 主に商品開発のプロセスで行われる検査です。開発中もしくはすでに開発した商品が、他社の特許を侵害しないかどうかを確かめます。 無効資料調査 自社で開発した商品が、他社の特許権を侵害していると警告された場合に、特許を無効にするための資料を探す調査を指します。資料が見つかったら、無効審判請求などにより、対象特許を無効にすることができます。 技術動向調査 他の特許調査と目的が少し異なり、 先端技術や今後の技術の方向性を探るために、技術の動向を調査するものです。 特許調査をアウトソーシングするメリットとは? 特許調査をアウトソーシングする最大のメリットは、人員の調整がしやすい点です。アウトソーシングする理由として、人手が足りないが会社の都合で増やせない、というケースも多く見られます。アウトソーシングでは、業務を依頼したい時のみ発注できるため、調査の件数に合わせて柔軟に対応できます。また、第三者の目に触れることで、発明のポイントを明確にできるようになるうえ、特許出願をクリアするためのノウハウも知ることができます。 アウトソーシング先の会社が、どのように特許調査を行っているかは、会社ごとで異なりますが、調査方法を参考にして自社の業務に取り入れると、専門的ノウハウが社内で活用できます。 さらに、受託会社側は、特許調査を専門的に行っているため、業務が標準化されており、慣れていない自社の社員で行うよりも、コストの削減が図れる可能性もあります。 特許調査をアウトソーシングするデメリットとは? メリットがある反面、デメリットもチェックしておかなくてはなりません。 注意すべきなのは、ガバナンスの弱体化が起こる恐れがある点です。特許調査の情報内容は、機密性の高さが特徴ですが、外部に委託するとなると、少なからず情報漏洩のリスクが生じるものです。 リスクを軽減するには、ガバナンス体制を整えることと、アウトソーシング先が信頼できるかどうかをしっかり見極めることが必要です。また、社内で特許調査に関するノウハウの蓄積具合が、部署によって差が出ることもデメリットと言えます。 今回のまとめ 特許調査のアウトソーシングは、その後の企業経営に大きな影響を与える可能性もあります。アウトソーシング先を選定する場合は、セキュリティや資料の取り扱いがきちんと行われているかどうかをきちんと確認し、信頼できるかどうかを見極めてから委託するようにしましょう。