試作品製作で活用される廃材・スクラップなどを活用した合成樹脂 2022/02/23 column 試作品を製作するときに使われる素材は、商品や目的によって変わってきますが、金属材料や樹脂材料が多く用いられます。近年では、試作品の素材として、プラスチックをはじめとする合成樹脂が使われる場面も増えており、量産に向けたステップに役立っているのです。合成樹脂の中には、廃材やスクラップを活用して作られたものもあり、限りある資源を有効活用するのに繋がっています。どのような合成樹脂なのか、今回の記事で解説します。 【目次】 1.試作品製作でプラスチックが使われるのはどんな時? 2.「ガンプラリサイクルプロジェクト」の取り組みとは 3.レゴブロックの試作品に使用済みペットボトルを活用 4.今回のまとめ 試作品製作でプラスチックが使われるのはどんな時? 試作品の材料としてプラスチックが使われるのは、販売促進のために店頭に並べるサンプルや、少量(100個前後が目安)の試作品を製作する時などです。デザインだけを確認するのであれば、どの材料を使っても、支障はほとんどありません。試作品を使う目的に合わせて、材料を選ぶことが大切です。 試作品の製作段階と、量産に入った段階とでは、材料や製法が変わることもあり、多彩な加工方法についての知識や長年の経験が求められます。プラスチックや樹脂の種類は大変多いため、それぞれが持つ性質を理解し、使用される環境や要求される機能性などによって使い分けなくてはなりません。 「ガンプラリサイクルプロジェクト」の取り組みとは 試作品以外にも、製品を作る段階で、使われなかったプラスチックの切れ端などが発生します。このプラスチックを、新たなプラモデル製品へ生まれ変わらせる取り組みが、「ガンプラリサイクルプロジェクト」です。 これは、バンダイナムコグループが、4社共同で行なっている大型企画です。ガンダムシリーズプラモデルの生産工場から排出されたプラスチックと、消費者がプラモデルを製作した後に残るランナー(プラモデルの枠部分)を回収し、新しいプラモデル製品や熱エネルギーへと生まれ変わらせる取り組みが行われています。 SDGsの実現に向けた、バンダイグループの取り組みの一つであり、プラスチックの再利用を積極的に行っているのです。 レゴブロックの試作品に使用済みペットボトルを活用 世界の子供たちに親しまれているレゴブロック。製造しているレゴグループでは、事業によって環境に与える影響を最小限に抑えるため、取り組みの一つとして、2030年までにレゴのパーツ全ての原料を再生プラスチックにするという目標を掲げています。2021年に作られたレゴブロックの試作品は、原料の一部に、使用済みペットボトルを再利用したプラスチックが使われたのです。 1リットルのペットボトルから、平均すると2×4のレゴブロック10個分の材料が得られるとのことです。既存のレゴブロックと同じく、厳しい品質と安全性の要件を満たしており、製品化へ向けて今後も更なる素材の研究が進められていく見込みです。 今回のまとめ 地球にある資源は無限にあると思われがちですが、資源には限りがあります。資源を有効的に活用するため、大企業において今回紹介した取り組みが行われています。それぞれの企業が、少しずつ取り組みを始める姿勢が求められているのです。