商品開発を行う際に試作品製作や特許出願を行うタイミング 2022/02/14 column 商品開発とはアイデアを形にすることです。もし、商品開発をして発売した商品がヒット商品になったとしても、後から似たような商品が発売されシェアを奪われてしまうことも少なくありません。このようなことを避けるために行いたいのが、アイデアを守り、保護する「特許出願」です。この記事では、商品開発を行う際の、試作品製作や特許出願のタイミングについて解説します。 【目次】 1.商品開発における試作品製作のタイミングは? 2.商品開発における特許出願のタイミングはいつ? 3.商品出荷後も特許出願はできる? 4.今回のまとめ 商品開発における試作品製作のタイミングは? まずは、商品開発における試作品製作のタイミングからご紹介します。商品開発には5つのステップがあります。 1つ目は、方向性やコンセプトを決定することです。開発しようとしている商品が、誰のためのものか、何のためのものかといったことを明確にしていきます。 2つ目は、市場調査です。決定した方向性やコンセプトのニーズなどを確認するためにアンケート調査などを繰り返します。 3つ目は、市場調査で得た意見を元に最終的なコンセプトを決定することです。そしてその後に行われるのが、コンセプトに応じた仕様や機能を満たした試作品製作です。 4つ目に行われる試作品製作を繰り返し、問題点などを解決した上で、5つ目の生産が行われ、市場に販売されていくのです。 商品開発における特許出願のタイミングはいつ? 一方の特許出願は、できるだけ早い段階で行うべきといわれます。それは、特許には先願主義が採用されているためです。先願主義とは、同じ発明があれば先に特許庁に出願した方が、特許を得る権利があるという考え方です。開発したタイミングが先であっても出願日が遅ければ、後から開発した出願日が早い人に、特許権を取られてしまうことになるのです。 また、特許出願の要件には「製品が完成していること」は条件として組み込まれていません。つまり、アイデアが具体化できていれば書面や図面をもって出願することが可能です。ただし、試作品を製作してみたところ、実現性がなかったという事態に陥るリスクもあります。そういった意味では、試作品が完成したタイミングで行うのがおすすめです。 ただし、既に特許出願されているものがないかを、出願前に調査することも忘れずに行いましょう。 商品出荷後も特許出願はできる? 特許出願ができる要件として、「新規性を有すること」という条項があります。ここでいう新規性は既に公になっていないもののことです。たとえば、自らが開発したとしても特許出願前にテレビなどの取材で発表されていたり、製造工程を不特定多数が見学していたり、研究論文や書籍などで公開されたものは、新規性がないと判断されてしまいます。そのため、製品出荷後は、特許出願は基本的にできません。 ただし、新規性喪失の例外という特例が認められています。製品を出荷した後もしくは書籍などで公開された後1年以内(平成29年12月9日以降に公開された発明であること)であれば、例外が認められます。その際には、新規性喪失の例外規定に該当することを証明する書類を提出する必要があります。 もし、別の人が先に出願してしまっている場合は、新規性喪失の例外規定は適用されません。商品出荷後であっても、新規性喪失の例外規定が適用され、別の人が既に出願していない場合に限って特許出願が可能となります。しかし、できるだけ試作品製作完成時に特許出願するのが賢明でしょう。 今回のまとめ せっかく発明したアイデアをヒット商品にし、末永く利用してもらえるものにするためには特許出願は欠かせません。ただし、製品が完成してから出願しようとしていると、先に別の人が出願していたり、新規性が認められないと判断されたりしてしまう可能性もあります。試作品製作が完成次第というタイミングを抑えた上で、特許調査も同時に行うことが大切です。