コンペに特化したプロダクトデザインと実用重視のプロダクトデザインの違い 2022/01/18 column ものづくりを成功させるために欠かせないものが「プロダクトデザイン」です。家電製品、家具、インテリア製品、文具、食器などさまざまなものづくりに必要とされるプロダクトデザインですが、目的に応じて着眼点を変える必要があります。この記事では、コンペに特化したプロダクトデザインと実用重視のプロダクトデザインの違いを例に挙げて考えていきましょう。 【目次】 1.プロダクトデザインで考えるべきポイントとは? 2.コンペに特化したプロダクトデザインに必要なものとは? 3.実用重視のプロダクトデザインに必要なものとは? 4.今回のまとめ プロダクトデザインで考えるべきポイントとは? まずは、プロダクトデザインを進めていく上で考えるべき観点についてご紹介します。ものづくりにおいては、サービス価値を向上させるもしくは不便を解消させる課題提起がスタート地点です。そこから、デザイン傾向、市場、商品調査や分析を行った上で、具体的にプロダクトデザインと商品コンセプトを作り上げていきます。 商品作りにおいては、それと同時に、使用する材料やコスト、品質、生産方法といった製品仕様を決定する必要があります。 コンペに特化したプロダクトデザインに必要なものとは? 同じプロダクトデザインの中でも、コンペに特化したものを作り上げるのに必要な観点が2つあります。 1つ目は、そのコンペの企画意図や趣旨にマッチしていること。デザインがいいかどうかという主観的観点は捨て、客観的にコンペの趣旨をスタート地点として考えることが大切です。 2つ目は、オリジナルのアイデアをデザインの中に落とし込めているかどうかです。アイデアも同様に、誰が見ても一目で伝わるものになっているかどうかを考えましょう。コクヨデザインアワードを例にとってみてみると、2021年にグランプリを取った作品は、テーマに合致し、アイデアの新規性があり、デザインの美しさや商品としての実現性の高さが評価されています。また、プロダクトデザインにさらなる可能性を感じるものであったこともポイントとなっています。 実用重視のプロダクトデザインに必要なものとは? 次に、実用性重視のプロダクトデザインでは、どこに着目点を置くべきでしょうか。プロダクトデザインであるからこそ、ある程度のデザイン性は必要です。しかし、それよりも重視したいのが実用性、つまり機能面が優れていることです。具体的には、耐久性や使いやすさ、カスタマイズできるパーソナライズ機能などがあげられます。 たとえば、株式会社イトーキが発売するvertebra03(バーテブラゼロサン)という椅子は、抗菌、防汚など耐久性が高い生地を背面や座面に使用しています。背がロックする機能や座がスライド・前傾・上下する機能など、正しい着座姿勢を保つための使いやすさが売りです。また、ボディカラーや脚部分、ファブリックがカスタマイズできるなど、様々な工夫が凝らされています。 このように、コンペに特化したプロダクトデザイン以上に、使ってみたい、欲しいと思わせる機能性を前面に押し出すことが大切と言えるでしょう。 今回のまとめ コンペ用のプロダクトデザインにおいては、機能性などは多少荒削りであっても、趣旨に沿っていることや斬新さ、機能面を拡張できそうな可能性を感じるデザインにすることが大切です。一方、実用重視のプロダクトデザインの場合は、実際に使用する消費者のペルソナなどを明確にし、耐久性、使いやすさ、独自性を含んだものにするのがいいでしょう。今や商品開発にかかせないプロダクトデザインですが、デザインする目的に応じて着眼点を変えていくことが大切です。