工業系製品の試作品・プロトタイプにおいて求められる機能 2022/01/14 column 製品の設計やデザインレビューを行い、アイデアを形にしたら、次には試作品・プロトタイプを製作するのが基本的な流れです。理論上は問題がなくても、実際に形にすることで材質や加工の仕方などによって生じる機能性の課題が見えてきます。とはいえ、適切な課題を見つけるためには、試作品に求められる機能を押さえておくことも重要です。 そこで、今回は工業系製品における試作品に必要な機能に焦点を当てて解説いたします。また、試作品の役割や注意点にも触れております。ぜひ最後までご覧ください。 【目次】 1.試作品・プロトタイプの役割 2.工業系製品の試作品・プロトタイプに求められる機能 3.工業系製品の試作品・プロトタイプを作る際の注意点 4.今回のまとめ 試作品・プロトタイプの役割 そもそも、試作品は何のために作るものなのでしょうか?試作品を作ることには様々な役割があります。例えば、製品の形状を確認する役割があれば、機能性などの確認を行う役割もあります。試作品といっても、その工程には多くの段階が存在し、製品の形が成り立つかどうかという簡単ものから、機能性やデザインなどの確認といったレベルのものまであります。 なお、最終的には、量産が可能であるかどうかという点に視点を置いた試作を行います。それぞれの目的を設定した上で試作を行い、テスト・評価・修正を重ねて完成品に近づけていくことが試作品作りの本来の目的なのです。ほかにも、機能面に問題が生じないよう修正を重ねていく点で、製品化した際の不備をなくす役割もあると言えるでしょう。 工業系製品の試作品・プロトタイプに求められる機能 試作品作りの主な役割には、不備をなくし完成品に近づける点が挙げられました。では、その段階において特に求められる機能とは、どのようなものなのでしょうか?ここでは、気になる疑問について解説します。 デザイン性 試作品では、設計通りのデザインを施すことが重要です。設計した形状が可能であるかどうかはもちろん、デザインの改善点を見出すことができます。 また、デザイン一つで機能性には大きな違いが生じます。仮に、試作品に設計通りのデザインが施されていなければ、イメージする機能を実現できないということにもなりかねません。 耐久性 試作段階でも、一定の衝撃に耐えられる耐久性は必要になります。加工材料によっても耐久性は変わりますが、最低限の耐久性を発揮していない場合、デザインや構造に問題があることが指摘できるためです。デザインや構造に問題があるならば、完成品の作成に移った際にも耐久性の懸念が残ってしまいます。 安全性 試作段階で安全に使用できないものならば、利用者に危害を及ぼす可能性があるため製品化は難しくなります。 例えば、大きな製品にも関わらず倒れやすい、電子機器で内蔵部品と加工材料との相性が悪く発火するなどの危険があるとすれば、試作以前に設計を見直す必要があるでしょう。 また、大きな危険性が見られなくとも、扱いやすいかどうかといった細かな部分に目を向けることも重要です。 工業系製品の試作品・プロトタイプを作る際の注意点 試作品の最終的な目的は製品の量産です。しかし、試作段階で多くの時間を要していたり膨大なコストがかかったりしていれば、いつまでも量産に移行することはできなくなります。このような事態を回避するためにも、試作段階から量産に向けた改善を意識的に行っていくことが大切です。 例えば、デザインを崩すことなくより効率的に作る方法はないか、機能性を落とすことなくより安価に作れる材料はないかなど、試作と同時に試行錯誤をしてみるのが良いでしょう。新しいアイデアを取り入れた際には、さらに量産型の試作品も作成し、テスト・評価・修正を重ねて納得のいく形に仕上げていくことが試作品作りのポイントです。 今回のまとめ 良質な製品を作るためには、試作品の製作が必要不可欠です。そして、そんな試作品においては、デザイン性・耐久性・安全性などの様々な機能が求められます。試作品とはいえ、一定の機能性を有していなければ、完成品でも同じ不備が生じることになります。そうなれば、当然一からやり直す形にもなるので、無駄なコストをかけないためにも綿密な計画と試作を心がけましょう。