ものづくりにおけるラピッドマニュファクチャリングとは 2021/12/27 column ものづくりの世界においても、アナログからデジタル化への変換が促進されてきています。これまでのものづくりでは、製品の企画から設計、試作、生産や工程計画の構築など、じっくりと腰を据えて行うのが一般的でした。 しかし、ものづくりにおいてもスピード化の波が押し寄せ、工業用ミシンから家庭用ミシンも製作するJUKIのように、ものづくり工場のスマート化が進められています。この記事では、ラピッドマニュファクチャリングに着目し、手法例や実際にラピッドマニュファクチャリングを取り入れている企業の例をご紹介します。 【目次】 1.ラピッドマニュファクチャリングとは? 2.ラピッドマニュファクチャリングの手法例 3.ラピッドマニュファクチャリングを取り入れている2つの例 4.今回のまとめ ラピッドマニュファクチャリングとは? ラピッドマニュファクチャリングは、英語でrapid manufacturingと綴ります。日本語に訳すると、敏速に製造するという意味になります。頭文字をとってRMと略されることもあります。 従来、機能面をそこまで求めない形状確認に利用されていた試作品などの模型を作る積層造形工法を進化させ、たとえば機械部品などの生産にも用いるのがラピッドマニュファクチャリングです。3次元のCADデータから、直接製品を作ることができる画期的なものづくりの手法と言えるでしょう。データから直接作れるため、非常に効率が良くスピーディーさが大きな強みとなります。 ラピッドマニュファクチャリングの手法例 ここからは、ラピッドマニュファクチャリングで用いられる手法についていくつかご紹介します。 1つ目は、金属粉のSLSです。金属製品におけるラピッドマニュファクチャリングで、金属の粉末をレーザーの光を用いて熱硬化させることで融着させて作る粉末焼結積層造形法のことです。テキサス大学で1986年から研究されてきた選択的レーザー焼結(SLS)が原点となっています。 2つ目にご紹介するのは、金属粉の3Dプリンターです。金属3Dプリンターを用い、金属の粉末を敷き詰めた場所に、レーザービームもしくは電子ビームを転写し、造りたい部位の金属だけを溶かして固めることで造形します。比較的精度が高く、造形できる形状の自由度が高いのが強みでしょう。そのため、複雑な形の金属部品の製造も可能です。 これらの技術は、新たに生まれた手法ではありません。システム効率の向上や粉末金属の発達により可能となったものです。 ラピッドマニュファクチャリングを取り入れている2つの例 ラピッドマニュファクチャリングを用いている企業の例を2つご紹介します。 1社目は自動車メーカーのBMW社です。3Dプリンターを活用するFDM(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層方式)プロセスを用いることで、車両のディスプレイモデルや実物大のモデルであるキュービングモデルを製作。また車両自体を構成する部品も例外ではありません。これにより、従来取り入れていた金属を削って作る手法では生産が困難であった複雑で有機的な形状の部品生産にも役立っているようです。 2社目は、大手電機メーカーであるパナソニック株式会社。2018年4月には生産技術本部内に、ラピッドマニュファクチャリング推進室を立ち上げています。そこで、金属3Dプリンターを活用し、数百台の製品を短期間で製造するビジネスモデルの仕組みづくりに取り組んでいます。 今回のまとめ 既存の技術と進化したシステムなどを融合させることで生まれたラピッドマニュファクチャリングは、自動車業界や家電業界はもちろんのこと、歯科のインプラント業界においても活かすことができる技術です。最近では、試作品だけでなく実際に販売する製品の製造においても注目されているラピッドマニュファクチャリングをご検討の方は、お気軽にご相談ください。提案型総合試作メーカーとして長年積み上げてきたノウハウを生かしてサポートいたします。