ものづくりにおいて考慮すべきユニバーサル・デザインとは 2021/12/21 column モノを作る時には、ひとりでも多くの人が、快適で使いやすいと感じてもらえる製品を目指すことが大切です。そのために重要な考え方がユニバーサル・デザインです。ユニバーサル・デザインを考慮したものづくりを行うと、より多くの消費者の要望に応えられるものづくりができるようになります。今回の記事で、ユニバーサル・デザインに対して理解を深めましょう。 【目次】 1.ユニバーサル・デザインとは? 2.ものづくりにおけるユニバーサル・デザインの重要性とは 3.ユニバーサル・デザインを取り入れた製品の事例 4.今回のまとめ ユニバーサル・デザインとは? ユニバーサル・デザインを提唱したのは、アメリカの建築家であったロナルド・メイス氏です。年齢・性別・能力・状況などにかかわらず、全ての人が最大限利用できるよう配慮されたデザインを指します。日本でも、1990年代頃から、この概念の認知度が上がりました。ユニバーサル・デザインの原則として、次の7つが挙げられます。 ・誰でも公平に利用できる ・自由に使える ・使用法が単純で分かりやすい ・必要な情報がすぐ理解できる ・ミスや危険が起きないデザインである ・無理な姿勢や強い力がなくとも使用できる ・すぐ近くで使える寸法や空間である ものづくりにおけるユニバーサル・デザインの重要性とは 高度経済成長期には、右利きの成人男性を中心として、ものづくりが行われていました。しかし、消費者のニーズの多様化や少子高齢化が顕著となっている日本では、全ての人々が安心・安全に暮らせる社会づくりが求められています。 この傾向に対応するために、企業はユニバーサル・デザインに対応した製品や環境作りへの取り組みが急務となっています。 消費者の視点から見て、どのような「もの」が使いやすいのかを考えると、自然にユニバーサルデザインの重要性が分かるのではないでしょうか。 ユニバーサル・デザインを取り入れた製品の事例 ユニバーサル・デザインへの注目度が高まっている中で、デザインを取り入れた製品は数多く存在します。ここでは、その一部を紹介します。 シャンプー容器とリンス容器の違い 髪を洗うのに必須なシャンプーとリンスですが、視覚に障がいのある方だけでなく、目を閉じて洗髪していると、双方の容器が区別できないことが課題でした。これを解決するため、シャンプー容器の側面のみギザギザがつけられています。容器に触れるだけで、シャンプーとリンスが区別できるようになりました。 駅に設置された広い改札口 これまで駅に設置されていた改札口は、車椅子に乗っている方や子連れの方、大きな荷物を持っている方などにとって、大変通りにくい幅で作られていました。誰もが利用しやすい幅に広げたことで、スムーズな改札口の通過が可能となったのです。 新旧乾電池を見分けるためのパック 乾電池は、見ただけでは使用・未使用の区別が付けられません。そこで乾電池パックに1本ずつミシン目を付け、未使用電池がパックされたままの状態になるよう工夫されました。さらに、パックには赤文字で目立つように「NEW」と書かれ、分かりやすい表記がされています。 今回のまとめ ユニバーサル・デザインを取り入れたものづくりは、ここで紹介した以外にも、まだまだたくさん開発されています。ものづくりを行うときは、常に消費者の目線から利便性を考えるようにしましょう。