試作品・モックアップ製作におけるデザインの重要性 2021/12/07 column 試作品やモックアップの製作では、実際に製品を量産する段階を想定しなくてはいけません。そのために重視したいのがデザインです。試作品・モックアップの段階であっても、デザインを重視すべき理由として、どのような理由が挙げられるでしょうか。デザインの重要性について、今回の記事で解説します。 【目次】 1.デザイン性の検証を確実に行うため 2.クラウドファンディングに活用するため 3.展示見本などに用いるため 4.今回のまとめ デザイン性の検証を確実に行うため 試作品製作の前には、CADソフトを使い3Dデータを作成したうえで、実際の製作に移ります。このため、CADやCGが発達している現代では、一定の段階まではバーチャルでの検証も可能です。 しかし、製品が完成した段階でのデザインは、バーチャルでは100%伝え切ることができません。量産が可能かどうかを見極めるには、本物と同じように試作品を作り、実際に触ったり見たりして、質感や使い勝手などを五感で確かめる必要があります。そのためには、原寸模型の製作により、表面処理の技法や部品の配置・大きさなども忠実に製作し、デザインを検証したうえで量産に移ることが重要です。 さらに、製品に問題点が見つかった場合にも、試作品であれば何度でも修正できるため、早期の対応が可能となります。 クラウドファンディングに活用するため 事業に必要な資金を集める手段として、クラウドファンディングを活用するケースが増えてきました。出資者に対して、製品のコンセプトやメリットをアピールするのに、試作品やモックアップが使われることもあるのです。出資者は、本物とほぼ同じ試作品を見て、出資しても大丈夫かどうかを見極めますので、デザイン性の高さが大きな判断基準のひとつになります。 試作品には、本物に比べて簡易的に作るタイプもありますが、クラウドファンディングに用いるのであれば、PRのために機能性や見た目の美しさを重視したデザインモデルがおすすめです。文章で詳細に説明するより、試作品を見てもらった方が、出資者へ製品の魅力が伝えやすくなります。 クラウドファンディングのために3Dプリンターで試作品を作ったが、見た目の精度が低いために試作品を作ったという事例は、実際によくあることです。 展示見本などに用いるため 展示会などにおいて、セキュリティや経費などの問題で、本物の製品を展示できない場合に、見本として試作品を活用することがあります。サイズや形状が同じであれば、試作品でカラーが確認できれば購入につながる可能性が高まるため、スマホの展示などでよく見られるようになってきました。 また、広告・宣伝のための写真撮影にも、試作品が使われます。精度の高い試作品を作ることで、宣伝効果を高められますので、デザインがより重要性を増すのです。本物と同じデザインの試作品を用いることで、顧客の疑問や不安も軽減でき、受注率の向上が期待できます。 今回のまとめ 今回は、試作品におけるデザインの重要性について解説してきました。試作品の完成精度が高いほど、量産がスムーズに進められるうえ、生産コストの削減にもつながります。試作品の完成具合によって、製品の品質や精度が左右されるといっても過言ではないほどです。試作品を作る際には、必ずデザインを重視するよう心がけましょう。