ものづくりを行う上で異業種と共同開発するメリット 2021/12/02 column 近年、製品開発で異業種コラボレーションがクローズアップされるようになりました。異業種コラボとも言いますが、異なる業種の企業が協力して、新製品を開発したり、付加価値を生み出したりすることです。企業同士だけでなく、自治体や研究機関との連携を含めると、数多くの企業がさまざまな組みあわせや形態で異業種コラボに取り組み、画期的な製品を世の中に送り出しています。ものづくりにおいて、異業種同士で共同開発をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。異業種コラボで期待されるメリットについて説明します。 【目次】 1.技術や発想の組みあわせでイノベーションが起きる 2.新たな顧客にアプローチできる 3.開発・広告コストを削減できる 4.今回のまとめ 技術や発想の組みあわせでイノベーションが起きる 異業種の会社が組み、それぞれの技術と発想を組みあわせることで、それまでにはないイノベーションを起こせる可能性があります。自分たちがありふれたものだと思っている技術でも、他の業種の人から見れば、画期的な技術かもしれませんし、他の業種では常識的な発想も、自分たちにとっては障壁を乗り越えるきっかけになるかもしれません。いつもとは違った視点から見ることで、問題解決の糸口がつかめることはよくあることです。 最近ではITやAIの技術がさまざまな分野に用いられ、それまで難しかったことが簡単にできるようになってきました。IT技術者も、「この技術が、こんな風に使えるんだ」と驚くことがあるそうです。アナログ技術とデジタル技術を融合させ、互いの弱点を補完することで、よりよい製品が生まれることもあります。 業界内の常識や慣習にとらわれて、視野が狭くなっていると、なかなかイノベーションは起こせません。異業種の技術や発想に触れることで斬新なアイデアが生まれるのです。 新たな顧客にアプローチできる 異業種の企業と組むことで、それまで縁のなかった顧客へアプローチできるようになることも大きなメリットです。どの企業にも一定のコアな顧客層がついています。そうした顧客層に、他の企業が積極的にアプローチすることはあまりありませんが、コラボによって自分たちの製品を、そうした層の人たちに知ってもらえます。ひょっとすると、意外なニーズを掘り起こせるかもしれません。 たとえば、伝統工芸のメーカーが若者向け商品を企画する会社とコラボすることで、若者から注目を浴び、顧客層が広がることもあります。顧客層が広がることで、企業や製品の認知度があがり、さらに顧客層が広がる相乗効果も期待できます。 コラボの組み合わせが意外なものであるほど、世間の注目を浴びやすく、製品を手に取ってもらえる機会も増えます。 開発・広告コストを削減できる 異業種の企業とのコラボレーションは、製品開発や広告の費用を抑えられる可能性があります。研究開発費を互いに出し合うので、開発の進め方によっては1社だけで取り組むときより費用の負担が減るかもしれません。広告・宣伝の段階でも、互いに役割を割り振ることで効率的な活動ができます。 関わる企業が増えるほど、予算規模も大きくなり、スケールメリットも生かせそうです。日頃縁がなかった媒体に取り上げてもらえる可能性もありますし、これまでできなかった、大がかりな広告プロジェクトの実現も期待できます。こうした取り組みによって、さらに人脈は広がり、視野も広がるでしょう。 今回のまとめ 異業種コラボは、他の業種で使われている技術を知り、新たな発想に触れるチャンスです。同時に、自分たちの技術や業界の常識を見つめ直す機会にもなります。普段、何気なく使っていた技術の新たな使い道に気づくかもしれませんし、技術を進歩させられる可能性もあります。一方で、業界の常識にとらわれていた自分たちの視野の狭さに気づかされるかもしれません。異業種との出会いで、新たなイノベーションを起こし、事業をさらに発展させましょう。