商品開発を行う上で考慮すべき異業種との関わり方 2021/12/01 column 事業を発展させるうえで、商品開発は欠かせません。古くから続く伝統工芸であっても、中核となる技術は守りながら、時代に合った商品を世に出していかなければ廃れてしまいます。しかし、世の中の人たちの心をつかむ商品は、容易に作り出せるものではありません。そんなときに大切なのが、異業種との関わりです。全く違う業種の技術や製品を取り入れることで、斬新な製品が生まれることがありますし、立場の違う人から意見を聞くことで、固定観念を打破できることもあります。商品開発を進めるうえで、異業種の人たちとどのように関わっていけばいいのか、考えてみましょう。 【目次】 1. 注目を集める異業種コラボレーション 2. 大企業も進める異業種コラボ 3. 異業種と交流できる場とは 4. 今回のまとめ 注目を集める異業種コラボレーション 商品開発での異業種との関わりで、最近注目を集めているのが「異業種コラボレーション」です。「コラボレーション」とは、協力、共同制作といった意味で、異なる立場の人や組織が違いを超えて同じ目的に向けて助け合うことを指します。同業者でも、違う顧客層を相手に事業を行っている会社同士が組んだり、互いに得意な技術を組み合わせたりすることもコラボレーションと言いますが、全く違う業種の個人や会社などが協力することを特に「異業種コラボ」と呼んでいます。 同じ業界で長く仕事をし、一定の層の顧客しか相手にしていないと、どうしても「これはこういうものだ」という固定観念が染みついてしまいます。ところが、世間の常識からみれば、全く不必要なことにこだわっていたり、時代のニーズからかけ離れていたりすることが、よくあります。 自分たちが持っていない技術や商品を製品開発に取り入れられるところが異業種コラボの魅力ですが、業界の常識や固定観念を打破できるというメリットもあります。 大企業も進める異業種コラボ 異業種コラボには、多くの企業が熱心に取り組んでいて、大企業も例外ではありません。これまで製品の自社開発にこだわっていた企業が他企業と連携したり、大学や研究機関、ベンチャー企業などと製品開発に取り組んだりする動きが活発になっています。たとえば、トヨタ自動車は次世代のコネクテッドカーの技術開発に向けて、米マイクロソフトと共同開発を行っています。IT技術が各分野で高度化していく中、最先端のIT技術を取り入れるため、メーカーとIT企業のコラボの動きは今後も加速していくでしょしょう。 もちろん、大企業だけでなく、中小企業やベンチャー企業などがコラボすることも多く、大学などの研究機関が参加するケースもあります。大学が参加した共同開発の製品には、新素材やセンサーなどの最先端技術を取り入れた製品だけでなく、学生のアイデアを生かしたユニークなものもあります。 異業種と交流できる場とは 異業種コラボは地域経済の振興の点からも関心を集めていて、各自治体や経済団体では地元企業同士のコラボや交流に力を入れています。都道府県や市町村の経済振興の担当部署や商工会議所、青年会議所といった経済団体に尋ねると、交流会や相談窓口などを紹介してくれるでしょう。商工会議所などでは、積極的に会員同士のマッチングに取り組んでいるところもあります。 また、民間企業などが主体の交流会もあります。女性経営者のみ、初級者のみといったテーマを設けている交流会もありますから、ぜひ、自分たちの会社にあった交流会を見つけて参加し、ビジネスチャンスにつなげてください。 今回のまとめ 商品開発を行ううえで、他社の優れた技術を取り入れたり、専門的な知識や感性から刺激を受けたりすることは、とても重要なことです。自分たちの業界だけのことではなく、広く他の業界の事情にも関心を持ち、最新のニュースにも注意を払いましょう。そして、知らない分野の人とも積極的に交流し、人脈を広げる。そうして視野を広げることが、商品開発を進めるうえでの大きなヒントを得るきっかけになるでしょう。