試作品・モックアップ製作における透明樹脂(アクリル)の活用 2021/09/17 column 試作品・モックアップ製作においては、金属や樹脂(プラスチック)などの材料が主に用いられます。樹脂には非常に様々な種類があり、その中の一つとしてアクリルやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等の透明樹脂が挙げられます。 そこで今回は、試作品・モックアップ製作における透明材料の種類や活用についてお伝えします。 【目次】 1.試作品・モックアップ製作で活用される透明樹脂の特性 2.試作品・モックアップ製作で活用される透明樹脂の種類 a. アクリル樹脂 b. ポリエチレンテレフタレート(PET) c. ポリカーボネート d. ポリ塩化ビニル(PVC) e. AS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂) f. シリコン樹脂 3.今回のまとめ 試作品・モックアップ製作で活用される透明樹脂の特性 透明な素材といえばガラスを思い浮かべる方が多いと思いますが、ガラスは衝撃に弱く割れやすい性質を持っています。工業製品や試作品・モックアップにおいて使用される透明樹脂は、ガラスと同じような透過性を持ちながらも軽量で衝撃に強く、曲げ加工や貼り合わせ加工などの成形が行いやすいというメリットがあります。ただし、透明樹脂は、切削加工を行うと透明度が失われるため、加工後に研磨などで仕上げる必要があります。 試作品・モックアップ製作で活用される透明樹脂の種類 アクリル樹脂 アクリル樹脂は、非常に透明度が高くガラスよりも強い耐衝撃性を持っているため、レンズなどの光学用部品やカバー、ケース、水槽などに使用されます。また、樹脂の中でも耐候性に優れており、建造物の窓や屋根、看板など屋外での使用にも適しています。 なお、アクリル樹脂は、加工に時間がかかり割高であるというデメリットがあります。 ポリエチレンテレフタレート(PET) ポリエチレンテレフタレート(PET)は、ペットボトルに使用されている材質で、燃焼しても有毒ガスが発生しづらく環境に優しい特性を持っています。主にフィルムやボトルなどの用途で使用されます。 なお、製造する物の薄さや形状によっては耐熱性を持たせることができず、酸性に弱いというデメリットがあります。 ポリカーボネート ポリカーボネートは、透明材料の中でも最高クラスの耐衝撃性を持ち、耐熱性や耐寒性、難燃性、寸法安定性が高い材質です。航空機や自動車、電気・電子機器、医療機器、防弾ガラス、ヘルメット、ネジなど様々な用途で使用されています。 なお、薬品耐久性や表面硬度は低いため、接着剤が使用できず傷がつきやすいというデメリットがあります。 ポリ塩化ビニル(PVC) ポリ塩化ビニル(PVC)は汎用樹脂の一つであり、接着や溶接、曲げ加工などを行うことができ、他の材質と比較して安価な材質です。また、耐薬品性や耐食性に優れているため、錆や劣化が少なく配管やパイプ、建築材料などに多く使用されています。 なお、ポリ塩化ビニルは低温状況で割れやすく、熱し続けると変形するなどのデメリットがあります。 AS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂) AS樹脂は、剛性や耐衝撃性、表面硬度、加工性、耐薬品性に優れた材質です。家具や日用品、ディスプレイシート、ライター、電気製品、カバー、容器などに使用されています。 なお、透明性が他の透明樹脂と比べると低く、アルコールに長時間触れると不透明になります。また、可燃性のため火や高温に弱いというデメリットがあります。 シリコン樹脂 シリコン樹脂は、耐久性や耐候性、耐衝撃性、耐熱性、耐寒性に優れたゴム素材で、硬化剤を混ぜることで硬化させることもできます。透過性が高いため、光学部品や電子部品、ゴーグル、レンズなどに使用されています。 なお、可燃性のため火に弱いというデメリットがありますが、製造過程で難燃剤を添加することで解消することができます。 今回のまとめ 試作品やモックアップ製作で使用される透明樹脂には、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、AS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)、シリコン樹脂などの種類があります。製作する物に応じて素材を選定することにより、最適な機能を持たせることができます。