3Dプリント技術を活用した試作品・モックアップ製作

2021/09/10
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3Dプリンターは1980年代にその前身となる「光造形技術」が発明され、現在では個人用の機種も発売されて身近な存在となりました。3Dプリンターの普及により、個人でも簡単に試作品やモックアップを製作できるようになりましたが、3Dプリンターは機械によって使用できる材料が限られており、得意な造形や苦手な造形があります。
そこで今回は、3Dプリント技術を活用した試作品・モックアップ製作の概要と製作例についてお伝えします。

【目次】
1.試作品・モックアップ製作で活用される3Dプリンター技術の概要
2.3Dプリンターを活用した試作品・モックアップ製作例
a. 熱可塑性樹脂を活用した3Dプリンターでの製作例
b. 光硬化性樹脂を活用した3Dプリンターでの製作例
c. 生体適合性樹脂を活用した3D プリンターでの製作例
d. 金属粉・セラミック粉・石膏などを活用した3Dプリンターでの製作例
3.今回のまとめ

試作品・モックアップ製作で活用される3Dプリンター技術の概要

3Dプリンターとは、コンピュータで作成した3Dデータをもとに立体的な物を造形する機械のことを指します。3Dプリンターの技術は「積層造形」とも呼ばれ、材料を一層一層積み重ねて固めることによって立体物として造形します。
3Dプリンターは、3Dデータさえあればすぐに造形を開始することができ、加工プログラムや金型などを作成する必要がないため、複雑な形状や内部構造でも迅速に実現することができるというメリットがあります。一方で、造形の精度においては切削加工と比べると劣り、造形物の精度を高めるためには出力後に研磨などを行って調整する必要があります。

3Dプリンターを活用した試作品・モックアップ製作例

3Dプリンターでは、造形方式に応じて熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂(エポキシ系樹脂・アクリル系樹脂)、生体的合成樹脂、金属粉、セラミック粉、石膏、砂、紙などを用いることができます。一般的に家庭用の3Dプリンターでは、熱可塑性樹脂を用いることが一般的です。

熱可塑性樹脂を活用した3Dプリンターでの製作例

熱可塑性樹脂とは、熱で軟化して冷やすと硬化する性質を持った材料です。剛性や衝撃耐性などが高く、電化製品や自動車部品、航空機、外装部品、精密機器など幅広い物に用いられています。また、部材と部材のつなぎ目部分(ヒンジ)など、薄肉の造形や折り曲げ耐性のある造形を行うこともできます。

光硬化性樹脂を活用した3Dプリンターでの製作例

光硬化性樹脂とは、紫外線を当てると硬化する性質を持った材料です。ゴムのように柔軟性を持たせて造形することや、無色透明な造形を行うことが可能で、化粧品容器やヘッドライト、精密機器の筐体などに用いられます。

生体適合性樹脂を活用した3D プリンターでの製作例

生体適合性合成樹脂とは、生体に遺物として認識され、かつ身体に馴染む性質を持つ材料で、主に医療分野で使用されます。人工臓器人工関節、インプラント治療などに用いられ、3Dスキャン技術で患者に合わせた造形技術も発展しています。

金属粉・セラミック粉・石膏などを活用した3Dプリンターでの製作例

3Dプリンターは、主として熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂で造形されますが、その他にも金属粉やセラミック粉、石膏などの素材を用いて造形することもできます。工業製品や医療器具、オブジェなど様々な物の造形を行うことができ、今後も製作できる物の幅が広がることが予想されます。

今回のまとめ

3Dプリンターとは、コンピュータで作成した3Dデータをもとに立体的な物を造形する機械のことを指します。3Dプリンターの技術は「積層造形」とも呼ばれ、材料を一層一層積み重ねて固めることによって立体物として造形します。3Dプリンターでは、造形方式に応じて熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂(エポキシ系樹脂・アクリル系樹脂)、金属粉、セラミック粉、石膏、砂、紙などを用いることができます。工業製品や医療分野など、様々な業界で3Dプリンターの技術が活用されており、今後も製作できる物の幅が広がっていくことが予想されます。