量産金型と3Dプリンターの違いを把握すると個人での商品開発に役立つ 2025/03/10 個人・中小企業向け 個人で商品開発を行う際に、「3Dデータから試作品を作れたらいいのに」と考える方もいることでしょう。3Dデータを用いて試作品を製作することは可能です。その方法としては、主に「金型」と「3Dプリンター」が挙げられます。金型と3Dプリンターはそれぞれ特徴が異なるため、違いを把握した上で試作品の製作を依頼しなければなりません。この記事では、金型と3Dプリンターの特徴・メリットを詳しく解説します。 【目次】 1. 量産金型と3Dプリンターの特徴とメリットを知る 2. 個人での試作品製作なら3Dプリンター 3. 大量生産に向けた試作品製作は金型が向いている 4. 今回のまとめ 量産金型と3Dプリンターの特徴とメリットを知る 3Dデータから試作品を製作する際の方法は「金型」と「3Dプリンター」の2つです。それぞれの特徴を解説します。 量産金型 量産金型は、製品の大量生産を前提として金型を製作することです。金型の製造および修正にはそれなりに高い費用がかかりますが、一度金型を作ってから大量に製造することでトータルコストを下げることができます。また、量産金型では非常に耐久性が高い鋼材を使用して金型を作るので、量産される製品も高い品質を維持できるのです。 3Dプリンター 3Dプリンターは、3DCADや3DCGなどで生成する3次元データを元に、平面である2次元の層を積層して立体的な造形を生み出す機器全般のことです。3Dプリンターでは樹脂を硬化・溶解・積層させる、あるいは高出力レーザーで照射を行うといった方法で立体的な形を生み出していきます。 3Dプリンターは光造形・金属造形・粉末焼結造形など、さまざまな造形に対応しているので、一般的な切削加工や金型では難しい造形も容易に作り出すことが可能です。 個人での試作品製作なら3Dプリンター 3Dプリンターは、データを読み込んでから造形物が作り出されるまでに数時間かかることが多く、大量の製造には向きません。そのため、3Dプリンターは大量生産を必要としない個人での試作品製作や小ロットでのサンプル製作に向いています。 一方で費用面では、個人製作に適しています。金型と3Dプリンターを比較すると、数点だけの製作であれば3Dプリンターのほうが安くなるからです。また、3Dプリンターは元の設計データを正確に出力・再現できるのでやり直しや失敗のリスクが減り、余計なコストを避けられます。 さらに、3Dプリンターは複雑な形状も再現できる点もメリットです。3Dプリンターは樹脂・石膏など金属以外の素材でも造形が可能なため、難しいアイデアや複雑な3Dデータでもイメージ通りの試作品を効率よく製作できます。 大量生産に向けた試作品製作は金型が向いている 大量生産を前提とした試作品の製作には金型が向いているといえます。金型の製造には高い費用と時間がかかりますが、一度金型を完成させてしまえばそれに合わせて短時間で効率的に量産が可能となるため、全体としてのコストを下げることにつながるのです。 ただし、製造段階に入ってから変更などが生じるとコストが上がる恐れがあります。試作を経て完成品を製造する段階になると、数百~数千というロット数になるのが一般的で、個人ではなく企業の場合は数万のロット数になることもあるでしょう。製造段階に入ってからデザインの変更などが起こり、そのたびに新たに金型を作っていては、コストが大きく膨れ上がってしまうのです。 量産前に金型で製品の機能・デザイン・耐久性などの仕様を確定させておくことが重要です。 今回のまとめ 3Dプリンターと金型では、コスト・製造過程・メリットなどが異なります。個人の場合、企業のように大量生産することは少ないため、試作品を製作するなら量産を前提としない3Dプリンターのほうが向いているでしょう。 試作品の製作を業者に依頼する場合、「自身で3Dデータを用意して製作する」「2Dデータを3D化してもらってから試作品を製作する」など、いくつかの方法があります。業者がどこまで対応してくれるかを見極めて依頼するのがおすすめです。