商品開発時に考慮すべき「イニシャルコスト」とは 2025/03/10 個人・中小企業向け オリジナル商品を開発・発明して売り出したいときは、コストの計算を細かく行うことが必要不可欠です。どれだけコストがかかるのか具体的に計算したうえで開発計画を進めなければ、コストばかりがかさんで利益が出なくなってしまうことが考えられます。 そんなとき考えたいことの一つにイニシャルコストがあります。イニシャルコストは初期費用のことで、どのような事業を始める際にも初期段階でのみかかる費用はあるものです。特にイニシャルコストには内訳としてさまざまなものがかかると考えられ、設備投資やデザイン費用などもあるため費用は大きくなりやすいのが特徴です。そこで今回は、商品開発におけるイニシャルコストについて解説していきたいと思います。 【目次】 1.イニシャルコストとは何か 2.イニシャルコストの内訳を考えよう 3.初期ロットがイニシャルコストになる理由 4.今回のまとめ イニシャルコストとは何か はじめにイニシャルコストの定義からチェックしていきましょう。これはいわゆる「初期費用」「初期投資」といわれるコストのことで、事業をスタートさせるにあたって初期のフェーズでのみかかる費用のことを指します。新しくビジネスをする際には、例えば新しい機材やシステムを用意する必要があります。しかしこれらの費用は継続的にかかる費用ではなく最初のみにかかるものなので、イニシャルコスト(初期費用)として計算するのが特徴です。 なお、イニシャルコストとほぼ対になる意味を持つ費用は、ランニングコストといわれます。ランニングコストは事業を行ううえで継続的・定期的にかかるのが特徴で、サービスやシステム利用の月額料金や材料費などがこれにあたります。 当然ながら商品開発においてもイニシャルコストとランニングコストはそれぞれかかるものなので、どの費用がどちらにカテゴライズされるものなのかしっかりと把握しつつ、計画を進めていくことが大切です。 イニシャルコストの内訳を考えよう ここでは、商品開発におけるイニシャルコストの具体的な内訳を整理していきます。イニシャルコストは最初の段階でのみかかる費用を指すため、例えばデザイン費・設計費・試作品製造費などが初期費用に当てはまってくるでしょう。ほかには金型製作費、生産に必要な機材がある場合はその機材の導入費もイニシャルコストに含まれます。 また、販売にあたってネットショップサービスを利用する際に出店の初期費用がかかる場合は、その出店の初期費用もイニシャルコストに当てはまります。なお、意外と間違われやすいのですが、試作品が作られて製造が決まり、初期ロットを生産する際にかかる費用も原則としてはイニシャルコストに含まれるのが特徴です。 初期ロットがイニシャルコストになる理由 初期ロットとはいえ、量産していくならその材料費や仕入れ費、人件費などは確かに毎回かかってくるコストです。そのため初期ロットもランニングコストに含まれそうなものですが、初期ロットは実は多くの場合イニシャルコストとして計上されるようになっています。 では、一見ランニングコストに含まれそうな初期ロットの製造費・材料費がイニシャルコストに含まれるのはなぜなのでしょうか。理由は、初期ロットを販売しきったとしてもその売上だけで黒字にするのは正直難しい傾向にあるからです。利益が出たととらえるためには、デザイン費や設計費、試作品製造費などさまざまある初期投資のコストをすべて回収しなければなりません。 そのためには最初から多くの数を販売しなければならず、そうなると大きなリスクが伴うため、初期ロット=イニシャルコストと考えられるのです。 今回のまとめ 事業を進めるためにはまずどのような事業にしてもイニシャルコストが多かれ少なかれかかります。商品開発の場合は、デザイン費や試作品製造費などが含まれるでしょう。このイニシャルコストの内訳と具体的な費用を把握し、いかに利益を出していくかを考えるかが、商品開発プロジェクトを成功させるカギになります。まずはイニシャルコストの定義や内訳として含まれるものを、しっかりと押さえておきましょう。