試作品・モックアップ製作の一般的な流れ 2021/08/27 column 試作品・モックアップ製作は、3Dプリンタで図面から一工程で製作することもできますが、企業が商品開発を行う上で製作される試作品・モックアップ製作においては、設計や加工・造形、検査など様々な工程があります。上流段階から下流工程まで考慮しながら試作品・モックアップを製作することにより、効率的に機能性や性能を高めることができます。 そこで今回は、試作品・モックアップ製作の一般的な流れについてお伝えします。 【目次】 1.試作品・モックアップ製作におけるラフスケッチから設計の工程 2.試作品・モックアップ製作におけるCAEシミュレーションの工程 3.試作品・モックアップ製作における造形・加工・組付の工程 4.試作品・モックアップ製作における表面処理の工程 5.試作品・モックアップ製作における検査の工程 6.今回のまとめ 1-試作品・モックアップ製作におけるラフスケッチから設計の工程 試作品・モックアップ製作では、まず手書きなどのラフスケッチや既存の図面などから試作品を製作するための設計図を起こす必要があります。設計図の作成では、3D-CADを用いて形状だけでなく試作品として作り出すために必要な内部構造まで設計を行います。この設計の段階でしっかりとデザインや機能面、パーツ同士の組み付けについて考慮しておかなければ、実際の物として製作してみたものの自立しない、組み付け時に精度が出ないなどの問題が発生する可能性もあるため、非常に大切な工程です。 2-試作品・モックアップ製作におけるCAEシミュレーションの工程 設計後、コンピュータ上で動作確認やパーツ同士の干渉、強度、耐久性、重量などのチェックを行うCAEシミュレーションを行います。CAEシミュレーションを行うことにより、試作する前に問題点や製造時のコストなどを確認することができ、コスト削減や試作効率の向上に繋がります。 CAEシミュレーションで見つかった問題点を改善後、試作品を加工する方法(切削や粉末造形、光造形など)に応じて加工プログラムを作成します。 3-試作品・モックアップ製作における造形・加工・組付の工程 CAEシミュレーションや加工プログラムの作成後、試作品・モックアップを切削や粉末造形、注型、成形などの技術で加工・造形します。使用する素材や求められる精度により、機械で形を作った後に人の手作業で調整を行うことがあります。 各パーツの造形・加工が完了後パーツ同士の組み付け作業を行います。組み付け作業を行う際、パーツの少しのズレが全体の大きなズレにつながる場合もあるため、設計や各パーツの造形・加工の段階からしっかりとした精度で作り出しておくことが大切です。 4-試作品・モックアップ製作における表面処理の工程 物の形が出来上がったら、次に塗装やメッキ、鏡面仕上げなどの表面処理を行います。より表面の美しさが求められる場合は、表面処理を行う前に下地処理を行います。下地処理を怠るとどれだけ綺麗に塗装しても表面にがたつきや歪みが出てしまうため、しっかりと工程を踏んで製作することが大切です。 5-試作品・モックアップ製作における検査の工程 組み付けや表面処理が行った後、図面をもとに精度を検査して最終チェックを行います。機械でコンマ1mm単位で検査し、問題があれば修正を行ってより精度を高めます。 今回のまとめ 試作品・モックアップ製作では、まず手書きなどのラフスケッチや既存の図面などから実際に新しい物として試作品を製作するための設計図を起こし、CAEシミュレーションでの検証や加工プログラムの作成を行います。その後、試作品に応じて切削や粉末造形、注型、成形などの加工方法で製作を行い、各パーツの造形・加工が完了後パーツ同士の組み付け作業を行い、塗装やメッキ、鏡面仕上げなどの表面処理を行います。 上流段階からしっかり後工程まで考慮しながら試作品・モックアップを製作することにより、効率的に機能性や性能を高めることができます。