試作品・モックアップ製作における「粉末造形」のメリット・デメリット 2021/08/23 column 試作品・モックアップ製作における工法の一つ「粉末造形」は、3Dプリンタを活用した造形技術で、注目度が高まり出した2010年前後から現在に至るまで、ものづくりにおいて多く活用されています。製作する試作品・モックアップや目的、予算、納期などに応じて最適な造形方法を選択するためにも、造形方法のメリットやデメリットを把握しておくことが大切です。 そこで今回は、試作品・モックアップ製作における「粉末造形」のメリット・デメリットについてお伝えします。 【目次】 1.試作品・モックアップ製作における粉末造形で用いられる機械と技術 2.試作品・モックアップ製作における粉末造形のメリット 3.試作品・モックアップ製作における粉末造形のデメリット 4.今回のまとめ 試作品・モックアップ製作における粉末造形で用いられる機械と技術 試作品・モックアップ製作における粉末造形とは、3Dプリンターの技術の一つであり、粉末状の樹脂材料にレーザービームなどを照射して固めることにより造形物を作ります。3Dプリンターの造形ステージに粉末状のナイロン樹脂などを敷き詰め、入力した3Dデータどおりにレーザービームを一層ずつ照射し、一層目が終わると造形ステージを下げて2層目、3層目…と積層することによって段々と形が出来上がります。 材料としては、ナイロン樹脂粉末やセラミック粉末、金属粉末などが使用されます。 試作品・モックアップ製作における粉末造形のメリット 粉末造形では、3Dデータを機械に直接入力して自動的に稼働させるため、作業者ごとで精度に差が生じず、複雑な形状や内部構造を持つ造形物も迅速に造形することができます。例えば、細いパーツや、キャップなど蓋の開閉を行うための薄肉ヒンジ形状なども迅速に再現することができ、切削加工や成形加工では難しい造形を一つの機械で完結して作ることができます。ナイロン樹脂やセラミック粉末、チタンや銅などの金属粉末などを使用することができ、柔軟性の高い造形物からある程度強度の高い造形物まで作ることも可能です。 また、造形ステージに粉末状の材料を敷き詰めることにより、造形物以外の部分を材料で支持するため、サポート材を使用する必要がありません。 試作品・モックアップ製作における粉末造形のデメリット 粉末造形は、材料を一層ずつ硬化させて造形するため、一層一層で段差が生じ、切削加工ほどの高精度で造形することは不得意と言われています。また、表面の仕上がりが粉っぽくザラザラとしているため、職人の手作業で加工や研磨、塗装などの調整を行う必要があります。そのため、粉末造形で制度の高い造形を依頼する際は、しっかり調整を行ってくれる業者を選ぶことが大切です。 今回のまとめ 試作品・モックアップ製作における粉末造形とは、3Dプリンターの技術の一つであり、粉末状の樹脂材料にレーザービームなどを照射して固めることにより造形物を作ります。 粉末造形では、3Dデータを機械に直接入力して自動的に稼働させるため、作業者ごとで精度に差が生じず、複雑な形状や内部構造を持つ造形物も迅速に造形することができます。また、使用する材料によって柔軟性の高い造形物からある程度強度の高い造形物まで作ることも可能で、試作品製作のハードルが低いというメリットがあります。 一方、粉末造形は材料を一層ずつ硬化させて造形するため、一層一層で段差が生じ、切削加工ほどの高精度で造形することは不得意と言われています。表面の仕上がりが粗いため、職人の手作業で加工や研磨などの調整を行う必要があります。