粉末造形と光造形の違い 2021/08/19 column 試作品・モックアップ製作では、これまで主に行われてきた切削加工に加え、3Dプリンタ技術を活用した造形が増えました。3Dプリンタ技術は、複雑な形状や内部構造の物を切削加工と比べて迅速に造形することができ、様々な種類の技術が存在しますが、その中でも粉末造形や光造形は多く活用されている造形方法です。 そこで今回は、試作品・モックアップ製作における粉末造形と光造形の違いについてお伝えします。 【目次】 1.粉末造形の仕組みや使用する材料 2.光造形の仕組みや使用する材料 3.粉末造形と光造形の違い 4.今回のまとめ 粉末造形の仕組みや使用する材料 粉末造形とは、粉末状の樹脂材料にレーザービームなどを照射することで焼結し、一層ずつ硬化させて積み重ねることによって造形する工法のことを指します。焼結とは、固体粉末の融点以下の温度で加熱することによって緻密な物体として固まる現象のことであり、材料の状態よりも密度や強度などが高くなります。粉末造形で使用される材料としては、粉末状のナイロン樹脂や粉末状のセラミック、粉末状の金属などが挙げられ、強度や耐久性の高い物から柔軟性の高いものまで幅広く造形することができます。 なお、一層、また一層と積み重ねて焼結させる造形方法のため、層ごとに段差が生じ、仕上がりはザラザラと粉っぽく、完成後に研磨や塗装などを行って調整する必要があります。 光造形の仕組みや使用する材料 光造形は、3Dプリンタ技術として初めて開発された手法です。液体状の光硬化性樹脂をプールに入れ、レーザービームを照射することによって一層ずつ硬化させて積み重ねることによって造形します。光硬化性樹脂は液体ポリマーとも呼ばれ、紫外線で硬化する性質を持っています。なお、光造形で使用される光硬化性樹脂は、透明な透明耐熱樹脂や人体や環境に安全なアンチモンフリー樹脂なども開発されています。 また、光造形は、滑らかな表面を実現でき、複雑な形状の物でも高精度で造形することができます。その反面、使用する光硬化性樹脂が日光によって劣化する性質のため、長期的な保存には向いていません。 粉末造形と光造形の違い 粉末造形は、粉末状の樹脂や金属などをレーザービームで焼結することで硬化させる造形方法であるのに対し、光造形は、光硬化性樹脂をレーザービームの紫外線を照射して硬化させる造形方法です。粉末造形は、光造形と比べて幅広い材料を使用することができ、強度や耐久性、柔軟性を高めた造形を行うことができるメリットがあります。一方、光造形は、粉末造形と比べて材料の選択肢は狭いですが、粉末造形では難しい滑らかな表面の再現や複雑な形状の造形を高精度で実現することができるメリットがあります。 なお、粉末造形は、完成直後の表面の粗さを研磨や塗装などの手作業で調整することができ、その後の処理によってより精度を高めることもできます。 粉末造形と粉末造形のメリット・デメリットを踏まえ、試作品や商品の製作を行うことで、効率的かつ高精度な商品開発を行うことができます。 今回のまとめ 粉末造形とは、粉末状の樹脂材料にレーザービームなどを照射することで焼結し、一層ずつ硬化させて積み重ねることによって造形する工法のことを指します。光造形は、液体状の光硬化性樹脂をプールに入れ、レーザービームを照射することによって一層ずつ硬化させて積み重ねることによって造形します。粉末造形は、粉末状の樹脂や金属などをレーザービームで焼結することで硬化させる造形方法であるのに対し、光造形は、光硬化性樹脂をレーザービームの紫外線を照射して硬化させて造形を行います。粉末造形は、光造形と比べて幅広い材料を使用することができ、強度や耐久性、柔軟性を高めた造形を行うことができます。一方、光造形は、粉末造形と比べて材料の選択肢は狭いですが、滑らかな表面の再現や複雑な形状の造形を高精度で造形することができます。