試作品・モックアップ製作に欠かせない3Dデータ作成技術の発展 2021/08/03 column 現在の試作品・モックアップ製作においては、3D-CADを用いて3Dデータを設計することが一般的ですが、モノづくりの黎明期には点と線の2次元で図面が設計されていました。また、現在では、3Dデータ作成するためのソフトウェアである3D-CADにおいて様々な技術が搭載されるようになり、3Dスキャンなどの新しい技術も出現しています。 そこで今回は、試作品・モックアップ製作に欠かせない3Dデータ作成技術の歴史と発展についてお伝えします。 【目次】 1.試作品・モックアップ製作に欠かせない3Dデータ作成技術の出現 2.3D-CAD・CAM・CAE技術の発展 3.3Dスキャン(リバースエンジニアリング)の発展 4.今回のまとめ 試作品・モックアップ製作に欠かせない3Dデータ作成技術の出現 設計ソフトのCADは、IT技術の発展が加速し始めた1960年台に誕生し、コンピュータ上で2次元図面の製図を行うことができるようになりました。その後、1977年に世界初の3D-CADシステム「CATIA」が開発され、1980年台に一般販売が行われ始めます。3D-CADの一般販売やIT技術の革新により、3D-CADは一般企業においても導入され始め、2000年代から現在にかけて、多くの企業が3D-CADを使用して設計することが当たり前となりました。 3D-CAD・CAM・CAE技術の発展 現在の3D-CADは、ただ図面を設計することができるだけでなく、設計図の検討やシミュレーションを行うことができます。一般的な3D-CADでは、外観の検証や精度の検証、部品やパーツ間の干渉チェック、内部構造の検証など、様々な機能が搭載されています。 また、3D-CADでの設計後は、3D-CADで設計した物の加工プログラムを作成するための「CAM」や、物の機能性・精度、製造効率向上などのシミュレーションを行う「CAE」の技術が用いられ、3D-CAD・CAM・CAEのすべてが統合されたソフトウェアも存在します。 さらに、最近では、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)など目の前に立体物を可視化することができる技術も発展しており、実際の物を作る前にイメージを検討することができます。もちろん、VRだけでは実際の触り心地や機能の検討などが不十分なため、試作品製作を行う必要はありますが、これまで商品開発に要していた多くの工程が短縮できるようになりました。 3Dスキャン(リバースエンジニアリング)の発展 現在でも、3Dデータの作成は3D-CADを用いることが一般的ですが、2000年代に3Dスキャナを活用して3Dのデジタルデータを作成する技術「リバースエンジニアリング」が発展し、様々なシーンでその技術が活用されるようになりました。なお、3Dスキャン技術自体は1960年代に開発されましたが、レーザー光などによる非接触型のスキャン技術は2000年代から出現し始め、試作品・モックアップ製作においても活用され始めるようになりました。 3Dスキャナを活用して商品開発を行う際は、取り込んだ3Dデータをもとに3D-CADで設計・調整する必要があり、既存の物で検討する場合や商品のバリエーションを検討する場合に用いられることがあります。 今回のまとめ 設計ソフトのCADは、IT技術の発展が加速し始めた1960年台に誕生し、IT技術の革新などにより、現在では多くの企業が3D-CADを使用して設計することが当たり前となりました。現在の3D-CADは、ただ図面を設計することができるだけでなく、外観の検証や精度の検証、部品やパーツ間の干渉チェック、内部構造の検証など、様々な機能が搭載されています。また、3D-CADで設計した物の加工プログラムを作成するための「CAM」や、物の機能性・精度、製造効率向上などのシミュレーションを行う「CAE」の技術の発展により、効率的かつ高精度でモノづくりを行うことができるようになりました。さらに、2000年代に3Dスキャナを活用して3Dのデジタルデータを作成する技術「リバースエンジニアリング」が発展し、様々なシーンでその技術が活用されるようになりました。