粉末造形で試作品・モックアップを製作する際に重要なデータ処理と表面処理 2021/07/29 column 粉末造形とは、3Dプリンタを活用した積層造形方法の一つで、入力した3Dの形状データから粉末状の材料を一層ずつ固めて形作る造形方法です。粉末造形は、3Dの形状データから造形するため複雑な内部構造の物も迅速に造形することができますが、より綺麗に造形するためにはデータ処理と表面処理が重要となります。 そこで今回は、粉末造形で試作品・モックアップを製作する際に重要なデータ処理と表面処理 についてお伝えします。 【目次】 1. 粉末造形の基本的な造形方法と課題 2.粉末造形で試作品・モックアップを制作する際に考慮すべきデータ処理 3. 粉末造形で試作品・モックアップを制作する際に考慮すべき表面処理 4.今回のまとめ 粉末造形の基本的な造形方法と課題 立体物を作る際は、材料の塊を削り出して造形する「切削加工」、材料を型に当てて圧力をかけることで変形させる「プレス加工」、型の中に溶かした材料を注入して固める「射出成形」、材料を一層ずつ積み重ねて固める「積層造形」の4つに分けられます。その内の積層造形が3Dプリンタの技術にあたり、3Dプリンタの技術の中に「粉末造形」という造形方法があります。 「粉末造形」は、造形ステージ上に敷き詰められた粉末状の材料にレーザーを照射し、一層ずつ硬化させる造形方法で、3Dの形状データから迅速に造形することができます。一方、一層ずつ硬化させるため、出来立ての状態は表面に段差があり、ざらざらとしています。また、造形ステージに粉末状の材料を敷き詰めるため、造形物を補助するサポート材が必要ありませんが、表面が粉っぽい仕上がりになります。 粉末造形で試作品・モックアップを制作する際に考慮すべきデータ処理 粉末造形は、3Dの形状データを機械に直接読み込ませることで、外側の形状から内部構造まで自動的に再現するため、3D形状データが試作品やモックアップの精度を左右すると言っても過言ではありません。内部構造は、後から削り出して調整することが難しいため、予め3Dの形状データをしっかりと作り込んでおくことが大切です。 粉末造形で試作品・モックアップを制作する際に考慮すべき表面処理 上述したとおり、粉末造形での試作品・モックアップ制作においては、粉末状の材料を一層ずつ硬化させるため、出来立ての状態は表面に段差があります。また、表面が粉っぽく、ざらざらとした状態のため、表面を整える工程が必要となります。 そのため、粉末造形で造形物が出来上がった後は、表面を研磨したり、表面に薄く樹脂を塗布することによって、より美しく仕上げを行います。また、造形物の表面の粗さを改善し、気密性や強度を高めるため、樹脂などの液体を染み込ませる「含浸(がんしん)処理」を行うこともあります。 今回のまとめ 「粉末造形」とは、ステージ上に敷き詰められた粉末状の材料にレーザーを照射し、一層ずつ硬化させる造形方法で、3Dの形状データから迅速に造形することができます。粉末造形は、3Dの形状データを3Dプリンターに直接読み込ませることで、外側の形状から内部構造まで自動的に再現するため、3D形状データが試作品やモックアップの精度に大きく影響します。内部構造は、後から削り出して調整することが難しいため、予め3Dの形状データをしっかりと作り込んでおくことが大切です。 また、粉末造形は、一層ずつ硬化させるため、出来立ての状態は表面に段差があり、ざらざらとしています。そのため、造形物が出来上がった後は、表面を研磨したり、表面に薄く樹脂を塗布することによって、より美しく仕上げを行います。