試作品・モックアップ製作における金属・木材・セラミック等の成形方法 2021/07/28 column 試作品・モックアップ製作においては、目的や予算に応じて材料を選択することが一般的です。また、商品の機能や性能などを検討する際は、実際に使用する材料で試作品・モックアップを制作して検討することが大切です。 そこで今回は、試作品・モックアップ製作における金属やセラミック、石膏の成形方法の一部についてお伝えします。 【目次】 1.3Dプリンタでの造形(粉末床溶融結合法・結合材噴射法・指向エネルギー堆積法) 2.工作機械で材料を削り出すNC切削での造形 3.3Dプリンタでの造形とNC切削の違い 4.今回のまとめ 3Dプリンタでの造形(粉末床溶融結合法・結合材噴射法・指向エネルギー堆積法) 金属やセラミック、石膏などの造形方法として、粉末状の金属やセラミック、石膏を3Dプリンターで造形する方法が挙げられます。3Dプリンターでの造形方法としては、粉末床溶融結合法や結合材噴射法、指向エネルギー堆積法などが用いられることが一般的です。 「粉末床溶融結合法」は、ステージに敷き詰められた粉末状の金属やセラミック、石膏にレーザービームを照射して加熱することにより造形する方法です。粉末状の金属が敷き詰められていることにより、造形物が固まるまで補助するサポート材が必要ありません。 「結合材噴射法」は、ステージに敷き詰められた粉末状の金属やセラミック、石膏に接着剤を吹き付けることにより粉末を固めて層を積み重ねる造形方法です。粉末床溶融結合法と比べ迅速に造形できる反面、接着剤で固めているだけのため、脆い造形となる傾向にあります。 また、金属材料の加工方法として「指向エネルギー堆積法」という方法も挙げられ、ステージ上の金属上の粉末をレーザービームなどで加熱して直接溶かして積層することにより造形します。 工作機械で材料を削り出すNC切削での造形 NC切削とは、工作機械で材料を削りだす造形方法で、金属やセラミック、石膏、木材など様々な材料を加工することができます。機械を数値制御することによって刃を自動的に動かし、削り出しや穴空け、ねじ切りなどの加工を高精度で行うことができます。 使用する材料に応じて工作機械自体を使い分け、プログラムで刃の使い分けや回転速度などを制御することにより、より精度の高い造形を迅速に行うことができます。 3Dプリンタでの造形とNC切削の違い 3Dプリンタは、3Dの形状データのとおり粉末状・液体状の材料を積層して固めることにより造形する方法のため、NC切削では難しい内部構造まで迅速に再現することができます。また、NC切削は、製作する物によって工具から作らなければならない場合もありますが、3Dプリンターは全行程を一つの機械で完結することができます。 一方、NC切削は、3Dプリンタよりも幅広い材料を加工することができ、より強度の必要な商品の加工に適しているため、商品開発の最終工程において用いられることが多い傾向にあります。 このように、製作する目的や材料に応じて加工方法を選択することが大切です。 今回のまとめ 金属やセラミック、石膏などの造形方法として、粉末状の金属やセラミック、石膏を3Dプリンターで造形する方法が挙げられます。3Dプリンターでの造形方法としては、粉末床溶融結合法や結合材噴射法、指向エネルギー堆積法などが用いられることが一般的です。また、3Dプリンターでの造形方法の他に、工作機械で材料を削りだす「NC切削」が挙げられ、金属やセラミック、石膏、木材など様々な材料を加工することができます。3Dプリンタは、NC切削では難しい内部構造まで迅速に再現することができる一方、NC切削は、3Dプリンタよりも幅広い材料の加工や強度の必要な商品の加工に適しているなど、それぞれ得意な分野が異なるため、使用する材料や目的に応じて最適な加工方法を選択することが大切です。