試作品・モックアップ製作における3Dデータ作成の重要性

2021/07/23
column

ものづくりにおける設計とは、商品の機能や構造、形、配置などを示す図面を作成することを指し、試作品製作においても必ず設計を行う必要があります。かつては、手書きで図面作成が行われていましたが、現代では、設計ツールであるCADソフトを用いて3Dデータを作成し、実際の製作に移ることが一般的です。
そこで今回は、試作品・モックアップ・デザインモデル・性能検討用モデルなどの製作における3Dデータ作成の重要性についてお伝えします。

【目次】
1. 3Dでの設計により商品の品質と効率性を高めることができます
2.3Dデータで干渉や安全確認を行うことができます
3.3Dデータを直接取り込む3Dプリンターで迅速な造形が可能です
4.今回のまとめ

3Dでの設計により商品の品質と効率性を高めることができます

点と線のみで構成される2Dでの設計は、寸法確認が行いやすい一方、立体物としての奥行きや完成形が想像しづらいというデメリットがあります。実物に近い3Dでの設計では、3Dデータを360度回転させながら細部に至るまで設計することができ、より良い商品を開発することに役立ちます。
また、改良が進んでいる現代の3D-CADは、複雑な局面や形状も簡単に再現することができ、部品やパーツ、ユニット同士を組み付けた際の状態も確認することができます。登録しておいた部品の形状や寸法を変更すると、組み付けていた部品も自動的に変換されるなど、より良い商品を短時間で開発するために役立ちます。

3Dデータで干渉や安全確認を行うことができます

3Dデータでの設計時には、部品やパーツ同士が組み付け時にぶつかってしまわないよう干渉チェックや安全性チェックを行うことが一般的です。干渉チェックや安全性チェックなどのシミュレーション技術のことを「CAE(シーエーイー)」と呼び、3Dデータを元に仮想的に実験することができます。
CAEでは、3Dデータに表面積や体積、重力、摩擦などを設定することにより、強度計算や耐久性確認などのシミュレーションを行うことができ、3Dデータを活用してCAE解析を行うことは商品の安全性や品質向上のために必要不可欠です。

3Dデータを直接取り込む3Dプリンターで迅速な造形が可能です

現在、個人用としても注目を集めている3Dプリンターは、入力した3Dの形状データどおりに素材を一層ずつ固める造形方法で物を形作ります。3Dプリンターは、物の内部構造まで再現することができ、切削加工では時間がかかるような形状・機能の物でも、迅速かつ3Dデータに忠実に造形することができます。
このように3Dプリンターは、デジタルデータから直接物の形を造形するため、入力する3Dデータの精度が試作品の精度を決定すると言っても過言ではありません。しっかりとデザインや機能などをコンピュータ上で設計して3Dデータを作り込むことにより、より効率的に商品開発を行うことができます。

今回のまとめ

実際の物に近い3Dデータで設計を行う3D-CADは、3Dデータを360度回転させながら細部に至るまで設計することができ、より良い商品を開発することに役立ちます。また、干渉や安全性のシミュレーションを行うCAEは、3Dデータに表面積や体積、重量などを設定して様々なシミュレーションを行うことができ、商品の安全性や品質向上のために必要不可欠です。
さらに、デジタルデータから直接物の形を造形する3Dプリンターを活用する上では、しっかりとデザインや機能などをコンピュータ上で設計して3Dデータを作り込むことにより、より効率的に商品開発を行うことができます。