3Dプリンターの大型化により容易になった大型モックアップ製作

2022/10/14
column

大型製品や製品部品のモックアップが欲しいけれど、スケールが大きすぎてどうすればいいかわからないとお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。スケールが大きくなればなるほどモックアップ製作が難しくなるものの、現在は3Dプリンターによって製作可能としています。
ここでは、3Dプリンターを使った大型モックアップ製作の将来性について解説します。これまで3Dプリンターが不向きだとされてきた理由もご紹介しますので、3Dプリンターでのモックアップ製作を検討している方はぜひ参考にしてください。

これまで大型モックアップ製作に3Dプリンターが向いていなかった理由

様々な部品製作やモックアップ製作を行える3Dプリンターですが、大型のモックアップ製作には不向きだとされてきました。その理由は、3Dプリンターでは製作できるスケールに限界があること、そして、製作スピードに時間がかかることです。
3Dプリンターは液体樹脂の硬化や積み重ね、材料の焼結といった方法でモックアップを製作するものです。複数のメーカーから機器が展開されているものの、最大1mまでの製品でないと作れないといった課題がありました。
しかし、メーカーでは大型モックアップ製作を目指した3Dプリンターの開発が進められています。現在は最大2mにまで対応する機器も出ており、今後はより大きな製品製作が可能な機器も出てくるでしょう。
製作スピードを速めて生産性を上げる取り組みも実施されていますので、大型部品を迅速に作り上げる3Dプリンターが、今後出てくるかもしれません。

大型モックアップ製作に3Dプリンターが利用されている業界

大型モックアップ製作で3Dプリンターを採用しているのは、船舶業界・車業界・家電業界などです。いずれも製作するモックアップのスケールが大きく、特に船舶業界は試作製作が難しいと言えるでしょう。
実寸大の船と同じ大きさのモックアップを用意することは非常に困難です。しかし、試作を用意して評価しなければ、製品として作り上げることはできません。どこかに穴があっても、製品製作の段階だと手を加えることが難しくなるからです。
船舶業界のある企業では、実寸より縮小したスケールモデルを3Dプリンターで製作し、船の流体試験を行っています。3Dプリンターで製作可能な大きさのものを作り上げれば、試験を行った上で評価できるからです。
3Dプリンターの大型化が進めば、さらに利用する業界は増えるため、どのような分野であっても手軽にモックアップ製作ができるでしょう。

3Dプリンターを用いたモックアップ製作の将来性

3Dプリンターを使った試作製作は、今後様々な業界において広がっていく可能性があります。機器の大型化や生産性の向上、使用可能材料の増加などの課題が残っているものの、クリアしていけばより活用できる場が広がるからです。
実寸大とはいかなくても、縮小したスケールモデルを作れば、デザイン評価や使用実験などを行えます。製品化の重要な判断材料となるため、高品質の部品や製品を作る過程において、モックアップ製作は欠かせません。

今回のまとめ

3Dプリンターは最大1m程度の部品や製品製作しか行えませんでしたが、現在は最大2m程度のものにまで対応している機器もあります。大型部品を作る必要のある車業界や船舶業界にとっては画期的な進歩だと言えるでしょう。
実寸大のものを作れなくても、全体を分割して部品を作り、つなぎ合わせることで試作品を作っている企業もあります。製品と同じ強度にしなければならないといった課題があるものの、加工次第で使用実験を行うことも可能です。
大型部品のモックアップ製作をお考えでしたら、3Dプリンターでの製作を検討してみてください。