3Dプリンターを用いた試作品製作に適している3種の造形方式

2022/09/06
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試作品製作の際に用いられる3Dプリンターにも、実は複数の種類の造形方式があることをご存じでしょうか。造形方式によって、使用できる素材やサイズも異なりますので、試作品の作製の段階で適切な3Dプリンターを選択することが必要です。今回は、3種類の3Dプリンターについてご紹介していきます。

3Dプリンターの主流となっているFMD方式

FMD方式とは、熱溶解積層方式のことを指しており、熱可塑性プラスチック材料を溶かしてモデリングされた3Dデータの通りに押出成形する方式です。このとき、後に取り外す足場のような役割をするサポート材料も完成品のモデリング材料と一緒に使用されますので、完成後はこのサポート材料部分で成形された部分を取り外します。
FMD方式のメリットは、従来の3Dプリンターでは製造が困難だった形状も問題無く作製できることと、完成品の耐久性の高さです。試作品の段階で複雑かつ耐久性が必要なモデルを作製したいなら、FMD方式のもので作製することをおすすめします。

表現力が求められる試作品製作ならインクジェット方式

豊富なカラーで色を自在に表現したり、ABS樹脂、ゴムなどの強度や耐久性を再現したりしたいのなら、インクジェット方式がおすすめ。インクジェット方式は3Dモデルの通りにインクを立体的に噴射し、硬化させることで立体的にモデリングしていく方法です。
硬化させる素材は、光硬化性樹脂を使用して光で硬化させるタイプのものと、材料に硬化させるための結合剤を噴射して立体的に固める2種類です。どちらも微細な表面に豊富なカラーバリエーションでの表現が可能なため、自在な表現を必要とする製品に向いています。

造形の早さが魅力のジェットバインダー方式

ジェットバインダー方式の場合、光硬化性樹脂を金属粉末と一緒に噴射し、硬化させます。造形速度も速く、サポート材も使用していないので除去作業がありません。着色もしやすいので、デザインを確認するための試作品作製などに最適です。
ただし、表面にざらつきがのこり、耐久性も低いため、強度を必要とするパーツやデザインの試作には向いていません。

今回のまとめ

今回は、3Dプリンターの方式を3種類にわけてご紹介していきました。FMD方式は複雑な造形も再現可能で、耐久性にもすぐれているので、部品やパーツなどの複雑かつ強度が必要なものの試作品を作製する際に最適です。外観の再現性については、インクジェット方式がより精度の高いものを作製できるので、デザイン性に優れたものを作製する場合はインクジェット方式を選んでください。
ジェットバインダーの強度は確かに劣りますが、造形速度が速く着色もしやすいため、特に強度を必要としていないデザインのチェックに向いています。それぞれの3Dプリンターの方式を理解し、試作品製作の段階でどの方法が向いているのか選び、適切な方法で作製してください。