シリコンゴム材料における試作品製作での金型成形の特徴や注意すべき点 2022/09/01 column シリコンゴム材料は一般的に電気を通さない絶縁体ですが、なかには導電性シリコンゴムと呼ばれる電気を流しやすい素材も存在しています。リモコンや電卓のボタン部分をはじめとし、さまざまな部品で使用されますが、その扱いには注意が必要です。今回は、導電性シリコンゴムの特徴などについてご紹介していきます。 【目次】 1.試作品製作でおさえておきたい導電性シリコンゴムの特徴や利用用途 2.シリコンゴムの圧縮成形で注意しなければならないスコーチとは 3.試作品製作でも注意が必要なシリコンゴムの帯電対策 4.今回のまとめ 試作品製作でおさえておきたい導電性シリコンゴムの特徴や利用用途 導電性シリコンゴムとは、その名の通り電気が流れやすいシリコンゴムのことです。シリコンゴムに電気を通すカーボンブラックや金属粉末を配合し、導電特性が付与されるので、導電特性が高いものはシリコン特有の弾力性や柔軟性が損なわれてしまいます。 導電性シリコンゴムの利用用途は、スイッチ部分やボタン部分に使用されており、身近なものならテレビのリモコンや電卓などが挙げられます。キー部分の裏に、この導電性シリコンゴムが取り付けられており、押しボタン機能やスイッチング機能を実現しているのです。 シリコンゴムの圧縮成形で注意しなければならないスコーチとは スコーチとはゴム焼けとも呼ばれており、ゴムが劣化してしまっている状態。シリコンの原料であるゴムには使用期限があり、この期限を過ぎると加工ができなくなってしまいます。 スコーチはゴムの使用期限が切れてしまう以外にも、成形時の金型設定温度が高すぎるために硬化してしまう、金型に材料をセットしてから一定時間経過するなどでも発生します。そのため、このスコーチを引き起こさないようにするために、金型の温度管理や使用期限には注意しなければなりません。 試作品製作でも注意が必要なシリコンゴムの帯電対策 シリコンゴムは電気絶縁体であるものの、ほかのものに接触してしまうことで引き起こる摩擦で帯電する特性を持っています。帯電による静電気の発生で部品が破損してしまったり、故障してしまったりする状態を避けるためにも、シリコンゴムの帯電対策が必要です。 この帯電対策に使われるのが、カーボンブラックやポリエーテル系を使用する方法があります。メーカーによっては、カーボンのような導電性物質を添加しなくても、帯電防止効果を得られているものもあります。 今回のまとめ 導電性シリコンゴムとは、シリコンゴムに電気を通す素材であるカーボンブラックや金属粉末を配合して導電特製が付与されたものです。この導電性シリコンゴムを成形するにあたり、スコーチという劣化状態にしないよう工夫しなければなりません。 また、導電性素材を加えていないシリコンゴムについては、帯電してしまう性質があるため、帯電対策をしっかり取らないと、実際に部品の一部として設置した際に静電気などを引き起こし、ほかの部品に干渉してしまう可能性があります。シリコンゴムの性質をしっかりと把握し、試作品製作の段階でどういったシリコンゴムが必要なのかチェックしておきましょう。